(1120)(1120)(1100)5 nm-110 nm100 nm0.213 nm0.237 nm2 nm1.研究の目的と背景キーワード:レーザ改質,レーザ誘起グラフェン,導電性微細構造フレキシブルエレクトロニクスでは,軽い,薄い,折り曲げ可能,等の特長を持つデバイスが一部実現し,更なる発展が期待されている.同分野において,基板に用いる高分子材料の表面に導電性を付与することがコア要素技術のひとつとして検討されているが,高分子材料の多くは耐熱性あるいは耐薬品性が高いとは言えず,従来のエレクトロニクスに用いられてきた金属を利用した導電性構造の作製技術をそのまま用いることは難しい.材料表面を導電性に改質する方法として,前・後処理工程を必要とせず基板表面を熱分解により黒鉛化させる方法が知られているが,炉を用いた方法では微細構造を作製することは困難である.さらに,近年では持続可能社会の実現に向けて枯渇性資源ではなく再生可能な天然資源由来の材料を基板として利用する気運も高まり,新しい分野としてサステナブル・エレクトロニクスを実現するための材料改質技術が希求されている.材料表面へのレーザ照射により生成する黒鉛化炭素は,レーザビームを走査するだけで材料表面に任意の形状の導電性構造を描くように配置することが可能であり,材料の直接改質による簡便さと構造の空間自由度において優れる.レーザ照射による高分子材料の炭化は■■■■年代には現象として知られていたものの, ■■■年頃よりレーザ誘起グラフェン(■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■)との呼称とともに関連研究の論文が急増した.しかし,■■■は前駆体,すなわちレーザ照射を行う材料としてポリイミドを用いた場合のみ高い導電性を示すとされていた.超短パルスレーザは高い光子密度により非線形光学効果を得ることが容易であり,熱緩和時間よりも短い時間間隔での高繰返周波数パルス列に着目すると温度上昇を得ることも可能である.この特長により,従来は難しいとされていたポリジメチルシロキサン(■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■)を前駆体とした■■■作製が可能であり1■,さらに,高い柔軟性,伸張性,光学透明性を持つ■■■■の特長と高結晶性かつ高導電性のグラフェンの特長を活かした微小モーションセンシングが実現している2■.本研究では,超短パルスレーザ照射を用いた黒鉛化につき,次世代エレクトロニクスの実現に資するレーザプロセッシング技術として確立することを目的とした.具体的には,■■■■へのフェムト秒レーザパルス照射により描画で慶應義塾大学電気情報工学科( ■ ■年度重点研究開発助成課題研究■■■ ■ ■ ■■■■ )教授寺川光洋2.グラフェン量子ドットの生成きる黒鉛質炭素につき,グラフェン量子ドットff■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■の生成とその蛍光特性を調べるとともに,シリコンカーバイドff■■■■のナノ結晶が生成することも明らかにした.さらに,材料生成とレーザ照射時の温度の関係を調べ,考察を行った.また,作製した導電性微細構造を応用して電気二重層キャパシタ(スーパーキャパシタ)を作製した.■■■に関する研究の大部分は導電性変化の応用のみに着目している.過去の研究において著者らは,■■■■を前駆体として超短パルスレーザを用いて生成した黒鉛化炭素では粒子の形状の材料が生成していることを明らかにしていた.本研究ではそれを発展させ,より小さな黒鉛化炭素の粒子を生成できることを実証した3).■■■■表面にフェムト秒レーザパルスを対物レンズを用いて集光し,ラスタースキャンすることで二次元構造を作製した.図1は生成した粒子の透過型電子顕微鏡像である.直径約■■■■■のナノ粒子が生成し,粒子内において黒鉛質炭素特有のff■■■■■ならびにff■■ ■■平面を示す格子間隔が観察された.すなわち,■■■が生成していることを明らかにした.図2は,レーザパワーを■■■■■■として作製した構造の断面図である.明視野顕微鏡像ff図2ff■■■における黒色の構造は炭化したものであり,蛍光顕微鏡画像ff図2ff■■■から,炭化構造の底面が青色の蛍光を示すことがわかる.作製した構造を波長■■■■■■で励起した際の蛍光スペクトルを図2ff■■■に示す.レーザパワーが高い条件では,波長■■ ■■■および■■■■■■において高いピーク強度が確認された.■■■■■■におけるピークは■■■■を修飾する官能基であ図1GQDの電子顕微鏡画像.− 97 −高繰り返しフェムト秒レーザパルス照射による高結晶性かつ高導電性微細構造の直接描画
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