図10は,レーザー溶接中にマイクロライダーで計測したX方向とY方向のキーホールの断面形状を示す.計測データから,開口径が約0.8mmでは深さ約1.5 mmのキーホールができている.図11に示す断面マクロの溶込み深さが約1.6 mmであり,キーホール通過後の湯流れで最終的な溶込み深さが決まると考えると,妥当な深さである.また,ハイスピードカメラを用いて撮影したレーザー溶接画像から得られる開口径とも一致している.X方向の断面形状において,キーホールの右側のデータがない部分は,溶融池であり,反射率が低いためデータが取得できていない.さらに右側は形状が平坦でないこともわかる.図10X方向とY方向のキーホールの断面形状図11断面マクロ写真■・ フィードバック制御フィードバック制御応答を検証として,溶接中に溶接速度を変化させ,キーホールの深さが一定になるように,レーザー出力を制御する実験を行った.リモート溶接ヘッドへの速度指令値を溶接開始時は4 m/minとし,溶接開始後140 ms経過した時点で5 m/minに変化させた.リモート溶接ヘッドの速度が速度指令値に追随することは予め確認している.SPCC 1.0tの同材重ね溶接を実施した.表3にフィードバック制御モジュールへの設定値を示す.表3フィードバック制御の設定値図12にキーホール深さ計測結果,図13にオシロスコープで測定したフィルタ処理後のキーホール深さとレーザー出力指令値,図14に縦断面マクロ写真,図15に溶込み深さのプロファイルを示す.オシロスコープで測定したキーホール深さは,制御システムから出力されたフィルタ処理後の深さであり,レーザー出力指令値は,制御システムからの出力である.レーザー出力指令値によって溶接レーザーの出力が変化する.図14中に白の矢印で溶接速度指令値の変更位置を示す.溶接速度変更後,一旦,溶込み深さが1 mmまで浅くなったが,目標キーホール深さの1.25 mmよりも浅くなったことから,レーザー出力がフィードバック制御され,1.35 mmまで深くなった後,1.15 mmとの間で振動して溶接を完了した.溶接区間全体では,目標値1.25 mmに対して,-0.25~+0.2 mmの範囲で制御することができている.図13オシロスコープで測定したフィルタ処理後のキ図12キーホール深さ計測結果ーホール深さ(緑)とレーザー出力指令値(橙)図14縦断面マクロ写真図15溶込み深さのプロファイル− 94 −目標キーホール深さ初期固定出力時間初期レーザ出力レーザ出力下限値レーザ出力上限値■■ ■■■■ ■■■■ ■■■■■ ■■■■■■■ ■■■
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