天田財団_助成研究成果報告書2024
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1.研究の目的と背景 ・■マイクロライダーシステムの概要図1にマイクロライダーシステムの概略図を示す.マイクロライダーシステムの光源は,繰り返し10MHz,中心波長1550 nm,パルス幅<1psの超短パルスレーザーであり,モード同期ファイバーレーザーで作製している.光源からの光は,はじめに高非線形ファイバーにて波長帯域を拡大し,次に長距離の分散補償ファイバーによってパルス幅を伸長し,チャープパルスにする.チャープパルスは半導体型光増幅器(BOA)にて増幅され,90%が測定光としてレーザー加工ヘッドへと導入され,ガルバノスキャナーを通り,ダイクロイックミラーにて,加工用高出力レーザーからの光と同軸にされ,ワークに照射される.マイクロライダーの光は,ガルバノスキャナーによって,加工レーザーの周辺を高速に走査することができる.ワークからの測定光の反射光は,マイクロライダーシステムへと戻り,サーキュレーターを通り,BOAで増幅された後,50:50ファイバーカップラーで参照光と結合され,バランス検出器で電気信号に変換される.10%の参照光は,測定光と干渉させるために,測定光とほぼ同じ光路長の遅延経路を通過している.バランス検出器で検出された光は高帯域のリアルタイムオシロスコープで記録され,コンピューターで信号解析され,キーホールの深さが計算される.図2にマイクロライダーシステムとレーザー加工ヘッドの外観写真を示す.図1マイクロライダーシステムの概略図キーワード:レーザー溶接,キーホール計測,マイクロライダー日本が提唱する未来社会のコンセプト「■■■■■■■■■■■」は,サイバー(仮想)空間とフィジカル(現実)空間が融合し,人々に豊かさをもたらす超スマート社会であり,その未来に向かって多くの取組みが進められている.その一つが,サイバーフィジカルシステムにより実現されるスマートファクトリーであり,ものづくりはセンシング・モニタリングにより見える化され,そのデータを用いた制御や,蓄積されたビッグデータと機械学習・■■による最適化が行われ,最終的に自立化していく.レーザー加工でも「■■■■■■■■■■」に向けた取組みが進んでおり,内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(■■■)では,「■■■型レーザー加工機システム研究開発」がある.産業技術総合研究所では,「■■■■■■■■■■■」へ向けた戦略の柱となる6つ研究の中で,デジタルものづくりに向けた革新的計測技術が挙げられており,製造現場でのリアルタイムかつダイナミックな計測技術の開発が進められている.一方,持続可能な開発目標(■■■s)では,「資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大」(■■■)がうたわれており,効率的でスマートなレーザー加工は■■■sの開発目標にも合致する.レーザー溶接のリアルタイムその場計測はすでに始まっている.直接,レーザー溶接をモニタリングする方法としては,スペクトルドメイン光干渉断層画像化法(■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■)によるキーホール深さの計測があり■■■),近年,カナダのレーザ・デプスダイナミクス(■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■)社とドイツのプレシテックff■■■■■■■■■社から販売されている.これらの製品は,加工レーザー照射中にレーザー照射位置のキーホール深さをそれぞれ ■■■■■■■■■■■■■■■■と■■■■■■■■■■■■■■■■で高速に計測する.また,我々は,タイムストレッチ技術■■■■を用いた■■■■■■■■■■■■■■■■の高速■■■を用いてマイクロメート分解能■■■■■計測を行う“マイクロライダー”の開発を進めている■■■■.本研究では,マイクロライダーを用いて,レーザー溶接中のキーホール形状のリアルタイムその場計測と,その計測結果を溶接レーザーにフィードバックするリアルタイム制御を行う.また,深層学習を用いたレーザー溶接結果の解析を試みる.光産業創成大学院大学光産業創成大学院研究科( ■ ■年度重点研究開発助成課題研究■■■ ■ ■ ■ ■■■)教授石井勝弘2.実験方法− 91 −マイクロライダーによるキーホール形状のリアルタイム計測と機械学習による評価

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