天田財団_助成研究成果報告書2024
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図9皿型膜モデルにおける水素透過中および透過後の変形挙動図10皿型膜モデルにおける水素透過中の応力,ひずみ分布提案されている7~9).しかしながらこれらはいずれも小型もしくは微細部品の加工を主としたもので,直径が100mmにも及ぶ大型箔部品の製造を対象とした研究は少なかった.そこで本研究では大型の金属箔を水素分離合(a)水素透過温度(623K)まで昇温(b)水素透過中(一次側ガス圧0.4MPa, 623K)(c)水素透過後(一次側ガス圧0MPa, 273K)(d)2サイクル目,水素透過中(e)2サイクル目,水素透過後(b)円周方向応力(b) 相当ひずみ分布金膜として最適形状に成形するための手法の開発を行った.具体的には当研究室で開発したサーボ制御プレスを用い,さらに丸茂らが提案した重ね板を用いた成形法9)を参考に合金膜に背圧を与えながら加工する方法を用いて,大型合金膜の成形へ適用した.3・1 実験方法第2章で検討した皿型膜の形状を考慮し,その形状に成形するような金型を,図11に示すように設計した.試験に用いた被加工材の金属箔および押え板の材料および寸法を表2に示す.ここでは被加工材として水素分離合金膜と比較的機械的性質が類似しているSUS304ステンレス箔を用いて実験を行い,押え板の強度,厚さとしわ抑制の効果との関係を検討した.試験条件は,しわ抑え荷重10kN,パンチストローク5mmとし,ダイス部,パンチ部ともにVG100を塗布して潤滑を行った.表2被加工材および押え板の材料と寸法被加工材押え板3・2 実験結果パンチ側,ダイ側それぞれに材料,厚さの異なる押え板を用いた深絞り試験を行った結果,図12に示すように大きく分けて,(a)フランジ部,壁部と飲みしわが発生,(b)フランジ部のみにシワが発生,(c) 壁部のみにしわ発生,(d) フランジ部,壁部ともにしわなし,の4パターンの結果が得られた.押え板の組み合わせを変えた25通りの試験結果を,図13に(a)フランジ部,(b)壁部に関してそれぞれまとめた.しわなく整形できたものを”○”,間隔が広く高さが低いしわが発生したものを”△”,間隔が狭く高ささが高いしわが発生したものを”✕”と表記してある.また曲げを考慮して押え板の降伏強度に板厚の2乗をかけたものを押え板の強度として,その順番に並べてある.図11金型寸法材料板厚[mm]直径[mm]SUS304A1050SPCC0.5, 1.0SUS3040.5, 1.00.11.0100− 82 −

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