天田財団_助成研究成果報告書2024
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(■)■)で表され,■曲げ外側表面,および内側表面で大きく,板厚中央部付近で小さくなる.ここで,■は板厚,■は曲げ半径である.塑性ひずみによって発生した転位などの欠陥には多くの水素がトラップされるため,■曲げ加工時には■曲げ部の板厚中央部よりも外側に多くの水素が存在し,試験片中の水素分布は一様ではなかったと考えられる.さらに,図4の■曲げ加工部の弾性ひずみ(応力)分布のように,■曲げ加工時の板厚方向の残留応力分布は非常に複雑となっている.鋼中の拡散性水素は応力誘起拡散7)によって引張応力の高い板厚中央部付近に拡散すると予想され,残留応力によっても試験片中の水素は不均一に分布したと考えられる.■曲げ試験片に応力付与すると,■曲げ外側の引張応力が上昇し,負荷応力が高く,塑性ひずみ量,水素量の多い位置で遅れ破壊が発生したと考えられる.負荷応力が低い場合,塑性ひずみが最大の位置,残留応力が最大の位置,および水素量が多い位置が板厚方向でそれぞれ異なるが,遅れ破壊の発生は高い引張の残留応力がおもな因子と考えられる.■・ 穴広げ試験片の遅れ破壊特性評価図6にパンチ押し込み量■■■の穴広げ試験片の遅れ破壊試験中のき裂進展挙動を示す.このとき,水素チャージ液には■%■■■■■■■■■■■■■■■■■■水溶液を用い,電流密度は■■■■ で水素チャージを行った.穴広げ加工した試験片に水素チャージを行うと,パンチ打ち抜き穴と同心円状に遅れ破壊き裂が発生したことが確認された.凸側よりもパンチ押込み側のほうが先に遅れ破壊き裂が発生,進展した.図7にパンチ押し込み量■■■の穴広げ加工後,■%■■■■■■■■■■■■■■■■■■水溶液,電流密度は■■■■ で遅れ破壊試験を行った穴広げ試験片の破面写真,および破面近傍の縦断面の■■■■■■■■観察結果を示す.穴広げ試験片の遅れ破壊破面は粒界破壊と擬へき開破壊の混合した破面を示した(図7ff■■).また,遅れ破壊き裂はおもに旧オーステナイト粒界近傍やラス境界を進展し,一部のき裂はラスを横切るように進展したことが確認された(図7ff■■).図8に放射光■線回折測定によって解析したパンチ押し込み量■■■の穴広げ試験片の半径方向の弾性ひずみ(応力)分布を示す.穴広げ試験片はパンチ接触側の反対側(凸側)のパンチ打ち抜き穴から約 ■■■■■の位置で高い圧縮の弾性ひずみが発生し,パンチ押し込み側の約■~ ■■■■■の位置で高い引張の弾性ひずみが確認された.また,穴広げ試験片の板厚中央部付近ではパンチ穴縁から約■■■■の位置で高い引張の弾性ひずみが作用した.穴広げ試験片は,穴縁付近でパンチ打ち抜き時,および穴広げ試験時の塑性ひずみ付与によりかなり大きな塑性ひずみが存在したと考えられる.また,放射光■線回折測定結果より,パンチ押込み側で,穴縁から約 ■■■■■の位置で高い引張の弾性ひずみが発生し,複雑な応力と塑性ひ■■■■■■■ff ■■■■■■■■ff ■■■■ ■■■■■■■■■■■■■(■)図6パンチ押込み量■■■■の穴広げ試験片の遅れ破壊試験中のき裂進展挙動.図7パンチ押込み量■■■■の穴広げ試験片のff■■■破面写真,およびff■■■■■■■解析による■■■マップ.ずみ分布を有した.さらに,水素チャージによって鋼中に侵入した多量の水素はおもに転位上にトラップされるため,大きな塑性ひずみが付与されたパンチ打ち抜き穴縁付近の水素濃度はかなり高かったことが予想される.鋼中の拡散性水素は応力誘起拡散7)によって引張応力の高い穴縁から約 ■■■■■の位置にも集積し,穴広げ試験片内の拡(a)5 min15 min30 mindepression10 mmcrackcrackcrack5 mm25 min55 min75 min001101(b)10 μm111impression10 mmcrackcrackcrack5 mm10 μm− 75 −

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