5.実験結果6.キーホールダイの補強■・ 負荷実験静的破壊試験の結果を図14に示す.ダイが破壊するまでパンチを押し付けた.溝底や穴底のひずみゲージの値は,狙い通り,2つ穴ダイやキーホールダイでは,従来ダイに比べて小さい値となった.しかし,耐荷重は2つ穴ダイ>従来ダイ>キーホールダイとなった.キーホールダイでは,図11に示した通り,高い応力が穴底に広く分布することが一因であると推察している.広く分布することによって,どこか一箇所に亀裂が生じると大きな破壊につながるためと考えている.図14静的破壊試験結果ff溝底,穴底のひずみ変化■疲労試験結果を図15に示す.静的破壊試験結果と同様に繰り返し疲労実験においても,耐荷重は,2つ穴ダイ>従来ダイ>キーホールダイとなった.トポロジー最適化によって得られた2つ穴ダイは,従来ダイに比べて,優れた特性を有した.一方,直感に基づき設計したキーホールダイは,従来ダイよりも劣る結果となった.キーホールダイでは,穴が大きく,変形が大きくなる.この特性は,反対に考えると,外部からの拘束を有効に活用できる可能性もある.そこで,ワイヤを外部から巻き付け,予ひずみを加えることを想定して,解析を実施した.解析モデルと結果を図16に示す.ダイ側面に分布荷重を与えることによって,穴底に発生する応力を低減できる.図中のグラフの横軸は,分布荷重を積分した水平方向荷重いる.また,穴深さaの減少にともない1/FVは減少する.穴深さaが3mm以下では,aの影響は小さい.以上の結果より,最適形状を穴半径r=6mm,穴深さa=1mmとした.負荷時の応力分布を,従来ダイと比較して,図11に示す.キーホール穴底に生じる主応力は,通常ダイスの溝底に生じる応力の60%となった.図11キーホールダイと従来ダイの応力分布■・■ダイ製作以上の結果に基づき,図12のダイを製作し静的破壊試験と,疲労試験を実施した.材質として,通常用いられている材質と比べて脆性を示すねずみ鋳鉄を用いた.これにより,通常のダイよりも,低いパンチ荷重で破壊し,少ない繰り返し数において疲労破壊が生じると考えられる.図12製作したダイひずみゲージを最も応力が高くなると考えられる場所に貼り付け,パンチ荷重とひずみの関係を調査し,2つ穴ダイやキーホールダイの特性を調べた.ひずみゲージ,および,ダイへの負荷方法を図13に示す.図13ひずみゲージの貼付と負荷の状況図15疲労試験結果− 64 −
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