天田財団_助成研究成果報告書2024
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4.解析結果■た場合には,ダイスが疲労破壊する前に板が破断することがあった.そこで,図6(b)のように板を挟むことなくパンチを直接,ダイに押しつけることとした.この際,有限要素法を用いて,図1(c)の板をコイニング曲げする状況を再現するパンチ形状を求めた.具体的には,板のコイニング曲げの際にダイスに生じるV溝近傍の応力分布と同様の応力分布を生じさせるパンチ形状とした.ここでのコイニングの条件は,「パンチとダイ斜面の隙間gが板厚tとが等しい」とした.■・■適正な つ穴ダイ形状トポロジー最適化の結果を図7に示す.「パンチとダイ斜面の隙間gが板厚tとが等しい」コイニング状況において最適化した.板を挟んだ状態で,板を弾塑性体,ダイを剛体として有限要素法によるコイニングの解析を実施し,面圧分布を求めた.続いて,弾性体ダイに同様の面圧負荷を発生させた状態でトポロジー最適化を実施した.図7トポロジー最適化による形状探査最適化の進行とともにV溝の斜面に沿って,細長い空洞が広がっていく.誤差逆伝播法による最適化では,効率的に応力を低下させるVoxelの仮想密度が先に減少する.過度に最適化を繰り返すと,50回目のように大きく空洞が広がってしまった.そこで,繰り返し数16回の結果を参考にV溝底に楕円空孔を設けることとして,楕円空孔位置の適正化を図4に示した重合メッシュを用いて実施した.重合メッシュを用いた解析結果の例を図8に示す.溝底の水平応力分布は位置(d)のとき,すなわち,V溝中心近傍に楕円穴がある場合である.重合メッシュによる更なる詳図6パンチ細な結果は論文として報告している■■■■■.上述のトポロジー最適化による形状探査と重合メッシュによる位置最適化の結果に基づき,さらにパラメータ最適化を行った.結果を図9に示す.楕円形状ではなく,更なる形状自由度を与えるために,2つの円弧をつなぐ形状とした.パラメータは,図中の2つの円弧中心座標と円弧半径である.涙形状(c)において最大主応力は最小化し,従来ダイに比較して637%まで低減できる結果となった.2つ穴ダイについては,国際会議にて詳細に報告している■■.■・ 適正なキーホール形状キーホールダイについて,適正な穴半径rと穴深さaをパラメトリック最適化により求めた.結果を図10に示す.縦軸は,図5に示したキーホール穴底に生じる最大主応力1の負荷パンチ荷重FVに対する比1/FVを示している.穴深さaによらず,1/FVを最小とする穴半径rが存在して図8重合メッシュによる位置適正化図9パラメトリック適正化結果図10キーホールダイ形状適正化− 63 −

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