AF-2021232-C2奨励研究助成(若手研究者枠)AF-2021233-C2奨励研究助成(若手研究者枠)レーザー加工,微細加工,高付加価値加工超短パルスレーザー,高出力レーザー,薄ディスクレーザーkitajima@nuee.nagoya-u.ac.jpレーザー加工ガラス,接合,光学デバイスsotenn55@gmail.com名古屋大学大学院 工学研究科電子工学専攻 助教東北大学大学院 工学研究科電子工学専攻 助教北島 将太朗竹内 魁− 54 −レーザプロセッシングレーザプロセッシング微細加工のための高出力・高繰り返し超短パルス光源開発高出力用光学素子実装のための直接接合技術の開発現代の高付加価値な製品の製造においては金属やセラミックなどに対する微細な穿孔や溶接、特殊な表面加工などの需要が高まっている。これらの加工を産業的に可能とするツールがYb添加利得媒質を用いた高出力超短パルスレーザーである。本研究では、Yb添加超短パルスレーザーの更なる短パルス化及び高出力化を目指し、広帯域な利得媒質であるYb添加タングステン酸塩系利得媒質(Yb:KREW)を用いた薄ディスク超短パルスレーザーの開発を行った。本研究において新たに開発した接合法を用いることで薄ディスクレーザーモジュールの低熱抵抗化に成功し、更にKerrレンズモード同期(KLM)超短パルスレーザー共振器を構築することによってパルス幅109 fsの超短パルスレーザー生成に成功した。同材料でのKLMは世界初の実証であり、パルス幅も最小記録であったことから、Yb:KREWが高出力超短パルスレーザー用利得媒質として有用であることを示せた。本研究では、高出力用光学素子実装のため、ガラス材料を常温プロセスかつ透明な接合界面を介して接合する技術を開発した。従来の接着剤や加熱に基づくプロセスではなく、真空中での表面活性化とイオンビーム処理を用いて、アルミニウム酸化物 (AlO)中間層を介しての接合は、透明性を維持しつつ強固な接合を達成した。また、従来手法であるシリコン中間層を用いた接合では光学特性の劣化が確認された。またAlOを介した接合はサファイアの表面活性化接合のメカニズムに近いことを解明し、提案する接合技術のメカニズムを明らかにした。本研究により、ビームスプリッタのような高出力用光学素子の実装において、信頼性と光学特性を両立する新たな接合プロセスが可能となる。
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