キーワード:インプラント,チタン合金、表面改質,低エネルギーレーザーピーニング 本研究は、共同研究者の佐野雄二博士(阪大産研、分子研)らが近年開発した低エネルギーLP技術を用いて、インプラントの性能を向上させようとするものです。発表では、低エネルギーLPを用いることで、歯科インプラント用材料であるチタン合金の疲労特性と生体適合性の両特 2.開催場所 チェコ共和国, プラハ, Prague Congress Centre 3.国際会議報告 1.開催日時 2024年6月3日~7日 2024年6月3日~7日にチェコのプラハで開催された「第11回残留応力に関する欧州会議」(The 11th European Conference on Residual Stresses: ECRS-11)に参加し、研究発表を行いました。ECRSは、機械・構造用材料などに生じる残留応力に焦点をあてた会議で、「残留応力に関する国際会議」(International Conference on Residual Stresses: ICRS)と約2年間隔で交互に開催されており、この2つの会議は実質的にはひとつのシリーズといえるものです。 今回の会場は、プラハの見晴らしの良い丘の上に建つ東京都市大学 理工学部 機械システム工学科 (2023年度 国際会議等参加助成 AF-2023257-X2) 教授 秋田 貢一 ②では、機械構造材料、溶接部、電子デバイス材料における残留応力の制御や評価、また、残留応力が強度特性などに及ぼす影響などの発表がありました。 近年活発に研究されている積層造形物については、残留応力等の特性評価のための標準試験片の提案があるなど、欧州の各国で連携協力して、開発を一段と加速しているように感じました。 筆者は、Simultaneous Improvement of Fatigue Strength and Biocompatibility of Ti-6Al-4V ELI by Low-energy Laser Peening(低エネルギーレーザーピーニングによるTi-6Al-4VELI材の疲労強度と生体適合性の同時改善)と題する発表を行いました(図2)。 性を、一つの工程で同時に向上できる可能性があることを示しました。会場から質問が複数出たほか、講演後のコーヒーブレイク中にも複数の方から声をかけられるなど、関心を持ってもらえたようです。 なお、本発表は、本会議のKeynote講演のひとつに選ばれるという栄誉にあずかりました。これを励みとして、今後も研究を推進して参ります。 会議場でした(図1)。 図1 会場付近からプラハ城を望む 会議は2部屋のパラレルセッションで行われ、参加者数は百数十名ほどで、欧州各国の他、米国、日本、中国などからの参加者がありました。発表件数はオーラル88件、ポスター30件と、テーマが絞られていることもあり比較的小規模の会議ですが、休憩中も含め活発な議論が行われ、とても良い雰囲気でした。 会議での発表内容は、残留応力の測定技術開発(①)とそのアプリケーション(②)の2つに大きくわけられます。①ではⅩ線・中性子・電子線等による回折法、機械的緩和法、磁気的手法およびデジタル画像相関法などに関して測定技術の改良が進められていました。なかでもUniversité Grenoble Alpesin のMarie-Ingrid Richard博士がKeynote講演で紹介した、in-situ Bragg coherent diffraction imaging (BCDI) による、ナノ結晶内部のひずみや欠陥のイメージングは、従来よりも格段に空間分解能が高い手法で、とても印象的でした。 図2 筆者の講演の様子 − 500 −The 11th European Conference on Residual Stresses参加報告
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