天田財団_助成研究成果報告書2024
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■■■■■■■■ ■後者の発表は,鋼/アルミニウムのレーザ接合材につい ■■・■■■■■■記念ミニシンポジウム ことがわかっている.そこで,接合条件を変えて接合強度(界面近傍の微細構造)の異なる接合材を用意して,張出し試験(Erichsen試験および平頭張出し試験)および穴広げ試験を行い,強度と成形性の関係を調査した.結果とし ては,図6に示すように接合強度と各成形性を表す指標は比例的な関係を持つことを確認した. 図6■鋼/アルミニウム接合材の強度と成形性の関係 前述のMS05記念ミニシンポジウムは盛況でほぼ3日間全てを通じて発表と議論が行われた.これらの期間の間,三先生方はほぼ全てのセッションにご参加され,それによって大変有益な議論がなされた.会議のバンケット会場は観光地でもあるHotel Dieu Sint-Jacques(図7)で行われたが,会の後半には図8のように桑原先生を中心に先生方を囲んだ記念撮影が行われた.この写真は,私を含めて参加された研究者にとって記念の一枚になると思う. 図7■バンケット会場(Hotel Dieu Sint-Jacques) ■本国際会議への参加にあたり公益財団法人天田財団より国際会議等参加助成(AF-2023055-X1)をいただいたこMS05 “Formability of Metallic Materials”が,これまで板材成形や塑性理論の面で中心的な役割を担ってくださってきたProf. Banabic, Prof. Barlat および 東京農工大の桑原利彦先生の記念MSであることには,まず触れておきたい. 参加者は400名超で,3日間で322件の講演が行われた.MS別に見ると,“Additive Manufacturing(MS01)”が最も多く45件,次いでMS05が40件,さらに“Incremental and Sheet Metal Forming(MS07)”,“Machining, Cutting and Severe Plastic Deformation Processes(MS10)”がそれぞれ32件および30件の順で講演数が多かった.Toulouseがヨ ーロッパの航空宇宙産業の中心地であることから,2日に分けてAirbus社の見学ツアーが企画されていた. 本会議のConference PaperはMaterials Research ProceedingsのVol.41“Material Forming-ESAFORM 2024”としてオープンリソースとして出版されている.次回は2025年5月にイタリア南部のPaestumで開催予定である. ■■・ ■発表概要■■本会議では,報告者による“Evaluation of Correlations between Principal Axes in Uniaxial Tensile Tests of Aluminum Based on Mohr’s Strain Circle”1) および指導学生(Jianchen Jin)による“Correlation between Sheet Formability and Joint Strength of A1050-O/SPCC Butt Laser Welded Tailored Blanks”2) の2件の発表をそれぞれMS05および“Innovative Joining by Forming Technologies(MS08)”で行った. 前者は一軸引張り時の構造,応力,弾性ひずみおよび塑性ひずみ増分の主軸方向間の関係についての内容である.塑性変形の理論では一般に弾性等方性を仮定するため,弾性ひずみの主軸と塑性ひずみ増分の主軸に関する議論はなされていない.そこで本研究では,図5に示すように8枚のひずみゲージを用いて引張方向を変えた一軸引張試験におけるMohrのひずみ円を測定し,応力の主軸からのひずみの主軸の変化を調査している.同図に示すように,構造の主軸方向の引張りでない場合,ひずみの主軸方向は,応力の主軸方向とは異なるが,弾性および塑性ひずみの主軸方向についてはおよそ一致することを確認した. ■図5■応力の主軸からのひずみの主軸方向の偏差 て,接合強度と張出し性および穴広げ性の関係を調査した内容である.これまでの研究からレーザの照射位置によって接合強度は変化し,接合界面近傍の微細構造も変化する図8■桑原利彦先生を囲んで 謝■辞■− 479 −

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