天田財団_助成研究成果報告書2024
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キーワード:ピーニング,移着,トライボロジー 2.会議報告 先進砥粒加工国際シンポジウム(International Symposium on Advances in Abrasive Technology: ISAAT)は,砥粒加工技術全般に関する最先端の研究成果や技術開発成果に関す第25回目の開催となるISAAT2023は,12月10日~13日にわたって台湾・台中市で対面開催された(ただし,ビザ発給の関係で入国できなかった参加者のために一部ハイブリッドも併用された).発表は口頭とポスターを合わせて約120件,参加者は約200名であった.会場の様子を図1,2に示す.ここ数年の本会議はコロナ禍の影響を受 東京都市大学 理工学部機械工学科 東京都市大学大学院 総合理工学研究科 (2023年度 国際会議等参加助成 AF-2023054-X1) 准教授 亀山 雄高 宮川 拓也 噴射加工についても多くの発表があり,例えば台湾Metal Industries Research and Development Centre (MIRDC)の許博士らのグループは,タグチメソッドを利用してピーニング加工条件の最適化を試みた成果を報告していた.12月11日午後にはAbrasive jet machiningセッションが開催された.その中で筆者の亀山はEffect of iron-enriched aluminum surface fabricated with fine particle peening on tribological behavior under oil lubricationと題して発表を行い,微粒子ピーニングを利用して潤滑油との親和性を高める成分を母材へ固相接合しトライボロジー特性の向上を試みた研究について講演した.また宮川は,Effect of acid‐pickled steel particle on transfer phenomena induced by fine particle peening conducted on aluminum substrateと題して発表を行い,微粒子ピーニングに用いる粒子の表面状態を変化させることで,粒子成分と母材との固相接合作用を促せる可能性について論じるとともに,新たな接合メカニズムを提唱した. なお筆者らは,本会議への参加後,台湾南部の高雄市に所在するMetal Industries Research and Development Centreを訪問し,見学と研究交流を行った.同所では,伸線加工や転造加工における金型設計ノウハウに関する技能継承への取り組みなどについてご紹介をいただいた. 図1 講演会場の様子 図2 ポスターセッション 本国際会議への参加および海外研究機関の見学は,公益財団法人天田財団の国際会議等参加助成を受けて行いました.ここに謝意を表します. 1.開催日時および場所 日時: 2023年12月10日~13日 会場: 台湾 台中市 Evergreen Laurel Hotel る議論の場として原則的に毎年開催される国際会議である.砥粒加工を専門的に扱う国際会議としては,とくに重要な会議といえる.本会議では,砥粒加工技術の一分野である噴射加工(Abrasive jet machining)も伝統的に取り上げられている.筆者が研究に携わっている微粒子ピーニング技術は,噴射加工の仕組みを利用した表面塑性加工であり,本会議と関連が深いといえる.また,本会議は近年,砥粒加工技術の枠を広げて,「金型」「高エネルギビーム加工」「Additive manufacturing」などの話題もカバーしている点も特徴といえる. けて,オンライン開催やハイブリッド開催の年が続いていたが,今年は久しぶりに各国の研究者が一堂に集っての開催となったことから,会場は大変盛り上がっていた. 会議では8件の基調講演が設定されていた.例えば,九州大学の黒河教授が半導体のCMP加工における加工プロセスの可視化について講演されており,会場の注目を集めていた.また,本会議で特徴的であったのは工作機械・工具・測定機器メーカーによる技術講演のセッションが設定されていた点であり,日本と台湾のメーカーからの話題提供がなされていた.そのほか,各日の口頭発表終了後にはポスターセッションも開催され,学生参加者同士が活発に議論している様子も見られた. 謝 辞 − 477 −(The 25th International Symposium on Advances in Abrasive 第25回先進砥粒加工国際シンポジウム Technology)

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