・ Soft Materials and Biomaterials (SB) ・ Structural and Functional Materials (SF) キーワード: 金属基構造材料,材料強度,微細組織 2.開催場所 3.国際会議報告 Boston, Massachusetts, the United States The 2023 MRS Fall Meeting & Exhibit はアメリカ合衆国のマサチューセッツ州,ボストンで開催された.会議が開催されたHynes Convention CenterとSheraton Boston Hotelは空港からのアクセスも良く,海外からの参加者もストレスなく参加できると感じた.私は今回が本会議への初めての参加であったが,本会議は50周年を迎える長い歴史のある国際会議である.今回は以下の8個のセッションが開かれた. ・ Broader Impact (BI) ・ Characterization (CH) ・ Materials Computing and Data Science (DS) ・ Electronics, Optics and Photonics (EL) ・ Energy and Sustainability (EN) ・ Quantum Materials, Interfaces and Topological Systems (QT) 1. 開催日時 2023年11月26日-12月1日 私はSFセッションの中の「Symposium SF08: Design and Behavior of Architectured Materials for Extreme Environments」において「Strengthening of eutectic alloys with mille-feuille structure accompanied by kink-band formation」という題目で講演発表を行った.本発表では,Al基共晶合金について,共晶合金の軟質相と硬質相の交互積層構造をマイクロスケールの「ミルフィーユ材料」として,キンク変形帯の形成誘導による高い強度と延性をあわせもつ材料の開発を試みた.一方向性凝固を行うことで,ラメラ組織の配向に成功したこと,またその結晶成長速度を制御することで,より高い配向性,より微細な組織を得ることができることを報告した.また,結晶成長速度を制御して結晶方位がそろった「コロニー」と呼ばれる領域の大きさを制御することで,形成されるキンク変形帯の大きさ,強度が大きく変化することが示された.キンク変形帯の形成応力と組織の関係を整理し,高い降伏強度を得るためには微細なキンク変形帯の形成誘導が重名古屋工業大学 大学院工学研究科 物理工学専攻 (2023年度 国際会議等参加助成 AF-2023048-X1) 助教 徳永 透子 要であり,そのためにはコロニーサイズを小さくすることが重要であることを示した.ディスカッションの時間は限られていたが,中国の研究者から質問をいただき,大変有意義であった. また,SFセッション中の「Symposium SF01: Additive Manufacturing—From Material Design to Emerging Applications」にも積極的に参加し,情報を収集した.Additive manufacturingが主な話題ではあるが,材料特性についての多角的な解析・考察手法が示されており,非常に有用であった. 今回の会議では,以前から国際会議で交流のあったインドのIIT KanpurのDr. Bhattacharyaにお声がけいただき,今後の国際共同研究についてのディスカッションをすることができた.また,日本からの参加者が少なかったこともあり,日本人研究者との交流も積極的に行うことができた.国内では分野が少し違うと交流する機会が限られるが,海外では分野の違う研究者とも交流する機会が多いことを嬉しく思った. 夜に開催されたポスターセッションは非常に盛り上がっており,歩くことが困難なぐらいに大勢の人が参加していた.ポスターセッション中にはお酒・ソフトドリンクと数種類のMac & Cheeseが提供され,非常に盛況であった. また,研究に関するテーマセッションに加え,非常に多数の企業展示も行われていた.私は最新のナノインデンターについての説明を聞かせていただいた.最新の機器展示を一か所で見る機会は国内では少ないため,大変興味深く,大いに楽しむことができた. 近年,国内でもダイバーシティ推進が積極的に行われているが,当学会においても「Women in Materials Science & Engineering Keynote Breakfast Talk」というセッションが設けられていた.本セッションに対する参加者は非常に多く,世界的にダイバーシティ推進への関心が高いことが見て取れた. さらに,会期中には似顔絵を描いてもらえるブース(Caricature Artist)が開かれていた.このブースでは長い行列ができており,その中で参加者同士が交流しており,大変良い試みであると感じた. 私は本会議に対面で参加したが,本会議はオンラインでも12月5日-7日の日程で開催された.参加だけを目的とするならば,ボストンまで渡航する必要は必ずしもないが,参加者の話を聞く限りでは対面で講演発表を行った研究者はオンラインでのビデオ提出を行っていない研究者も− 469 − The 2023 MRS Fall Meeting & Exhibit
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