天田財団_助成研究成果報告書2024
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キーワード:面内曲げ,曲げ半径,有限要素解析 1) Tsuyoshi Muraoka, Yusuke Okude, Shohei Kajikawa, Takashi Kuboki: Effect of Initial Cross-Sectional Shape on Bent Shape in “Bending and Compression Method” for Forming In-Plane Bent Sheet Metal, Lecture Notes in Mechanical Engineering (2023), pp. 307-316. 本国際会議は、金属成形に関する研究開発について、研究者および産業技術者の双方が一堂に会することを目的に、1984年に創設された会議である。本国際会議は「塑性加工のオリンピック」とも言われ、3年毎に世界中で開催されており、今回はフランスにて初開催となった。前回はCOVID-19の影響によりweb会議であったが、今回はフランスのマンドリュー・ラ・ナプールの会議展示センターにて対面形式での開催となった。 ■会議は産学の研究者による総会講演7件、基調講演および一般講演300件以上が4日間に渡り、9つの部屋に分かれて開催された。また、ポスターセッションが30件以上開催された。セッションは、板材成形、管材成形、鍛造、圧延、曲げ、押出し、せん断、接合、インクリメンタルフォーミングなどの加工法はもちろん材料モデル、トライボロジー、積層造形、AIデータサイエンスなど多岐に渡った。総会講演(45分)では、機械学習と成形技術を組合わせた内容や、ゼロエミッションに資する金属成形など、昨今の技術トレンドや社会問題に則した内容が講演された。基調講演(30分発表、質疑応答10分)および一般講演(15分発表、質疑応答5分)では、発表者は事前に発表資料を学会サーバーにアップロードし、発表時には共通のパソコンで発表することにより、発表の表示トラブルや切り替えによる時間遅延を防ぐ取り組みが見受けられた。26日および27日には、2件のワークショップが開催された。28日には、日本塑性加工学会精密鍛造国際学術賞の受賞講演および日本塑性加工学会若手研究者への授賞式が行われた。閉会式では、次回の本会議(ICTP 2026)は、韓国の済州島にて予定されていることが告知された。また、最終日にはインダストリアル・カルチャーツアーとして4つの訪問先に分かれて企業見学交流会が行われた。本会議の講演論文は「Lecture Notes in Mechanical Engineering」に収録され、参加者には電子ファイルが配布された。 ( ■  年度■国際会議等参加助成■■■■ ■  ■■■■■ )■■著者は本国際会議にて、「面内曲げ部品の成形のための曲げ圧縮加工法における曲げ形状に及ぼす初期断面形状の影響」というタイトルにて発表した1)。ブスバーやエッジワイズコイルといった面内曲げ加工部品は、省スペースにて大電流が流せるという利点があり、モーターをはじめとした電気部品として広く使用されている。しかしながら、従来の面内曲げ加工では、高断面比および小曲げ半径での成形が困難であるという課題があった。そこで、著者らは、棒材から曲げと圧縮工程を施すことにより面内曲げ部品を成形する「曲げ圧縮加工法」を提案した。これまでの研究では、「曲げ圧縮加工法」としては、円形断面の材料のみを用いていた。しかしながら、断面形状を非円形にすることで、さらなる高断面比および小曲げ半径にすることが期待できる。そこで本研究では、有限要素解析を用いて、「曲げ圧縮加工法」における初期断面形状が曲げ形状に及ぼす影響を調査した。 調査の結果、断面形状を台形の特に非対称性の強い形状とすることにより、直線状態の材料でも圧縮工程のみによって、曲げ形状を得られることがわかった。これは、非対称性の強い断面形状の材料を圧縮すると、断面から見て変形部と非変形部が存在し、変形部では圧縮により幅広がりするが、非変形部では変形が生じないため、相対的に材料は曲げ形状を得ることができると考えられる。本研究では、直線形状の材料の圧縮実験も行い、曲率の増加を確認した。 ■講演では、解析条件の再現や成形における不良の発生などの質問があった。他の講演発表と含めて、今後の研究にもつながり得るトピックが多々あり、非常に実りの多い学会であった。 本研究成果の発表にあたり、公益財団法人天田財団の国際会議等参加助成(若手研究者枠)を賜りました。ここに深く感謝の意を表します。 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター■研究開発本部■物理応用技術部■機械技術グループ 1.開催日時 ■ ■ ■年■月 ■日(日)~ ■日(金)■ 2.開催場所 ■マンドリュー・ラ・ナプール■会議展示センター(806 Av. de Cannes, 06210 Mandelieu-la-Napoule, France) 3.国際会議報告 研究員■村岡■剛 謝■辞 参考文献 − 466 −■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ff■■■■■ ■ ■■■

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