熱合成は,このように自己触媒的なプロセスである.連続的なレーザー照射では,最初のナノ結晶の核生成からわずか数秒後にマイクロバブルが形成された.しかしこの場合,基板には損傷は観察されなかった.おそらくアルミナで保護されているためであろう.図3の■■■画像からはむしろ,合成された■■ マイクロ構造の結晶化が改善されている様子が示されている.この結果は,空気リッチなマイクロバブルの熱伝導率が,周囲の溶液の熱伝導率に比べて低いことで説明できる.同程度のレーザー出力を用いると,マイクロバブルの形成により,前駆体溶液が突然存在しなくなるため,材料成長が停止する一方で,より高い温度に到達することが可能になる.図3ff■■■■■■,ff■■■■■■,ff■■ ■■■のレーザー出力を用いて,マイクロバブル形成後に得られた直径■µ■の円形状のマイクロ構造.白線:■■■■■.図4マイクロバブル形成後に得られたマイクロ構造の■■■画像と■■■測定結果(バナジウムと酸素).マイクロバブルの接触線(破線)付近にも■■ ナノ結晶が見られる.白線:■µ■.図4は,マイクロバブル形成後の合成マイクロ構造について行った■■■測定である.結果からわかるように,バナジウムリッチな物質がレーザースポットだけでなく,マイクロバブル周辺の三相接触線付近(図中波線付近)にも形成された.この結果は,金薄膜の大きな温度上昇と,マイクロバブル周囲の熱勾配誘起マランゴニ流による前駆体濃度の上昇の両方によって説明できると考えられる.■・ 金ナノ構造上の■■ ナノシェル作製局所的で光学的に制御可能な熱源としてプラズモンナノ構造を用いて,■■ の水熱合成を試みた.まず金ナノディスク構造を用いて局所的な表面プラズモン共鳴の励起による光熱エネルギー変換の増強効果を検証した.図5に示すように,直径 ■■■■から ■■■■のナノディスクでは,■■ の成長が速かった.これは,双極子プラズモン共鳴の励起により,ナノディスクの吸収断面積が増加したためである.図5直径の異なる金ナノディスク(左から■■■■■、 ■■■■、 ■■■■、 ■■■■)上に、■■■■■のレーザービームを■秒間集光して合成した■■ ナノシェル.白線:■■■■■.次に,入射レーザーの偏光状態によって制御される■■ 合成について検証した.まず,直線偏光レーザー光を金ナノバーダイマー構造に照射した. つのナノバーは,直交する直線偏光状態を用いて双極子プラズモン共鳴を選択的に励起できるように,互いに垂直になるように配置した(図6).結果に示すように,■■ は入射光の直線偏光と同じ方向に配向したナノバー上でのみ選択的に合成された.図6入射光の直線偏光と同じ方位を持つナノバー上に選択的に合成された■■ ナノシェルの成長前後の金ダイマーナノ構造.白線:■■■■■.局所的な表面プラズモン共鳴の励起が,どのように局所的な熱分布,ひいては局所的な物質水熱合成を制御できるかをさらに実証するために,同じ方向に配向した■つのナノバーからなる金ナノ構造体(図8)に円偏光を照射した.スピン軌道相互作用効果により,入射光の円偏光は,ナノバーの局所的な表面プラズモン共鳴間の非対称結合を引き起こす.この非対称結合は,入射光とナノ構造の結合プ− 431 −
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