天田財団_助成研究成果報告書2024
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キーワード:レーザー誘起水熱合成,プラズモン,二酸化バナジウム ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■態,軌道角運動量などの特性を調整した光を放射できる金属ナノ構造体である1).これらのナノデバイスは,単一のナノエミッタから放射される光を,自由空間に向けて,あるいはフォトニックチップ内の特定のガイドモードに向けて制御するために使用することができる.プラズモンナノアンテナは, ■フェーズドアレイのように機能する ■アレイを形成するためのビルディングブロックとしても使用できる.このような光ナノアンテナの集合体はメタサーフェスと呼ばれる ).■■近年,メタサーフェスと呼ばれるフラットな光学部品の開発が光科学や産業界で注目されている ■■).これまでに,フラットレンズ,フラット偏光板,フラット軌道運動量変換器など,多くの機能の実現に成功している.しかし,それらのデバイスの機能は,通常,製造プロセス中にその形状によって固定されている.扁平な光学部品はすでに製造されており,次世代のオプトエレクトロニクスデバイス(スマートフォンのカメラなど)に組み込まれようとしているが,制御可能な機能を持つ部品の開発が急務となっている■).■■その方法の一つは,相変化材料を使用することである■).■相変化材料とは,温度や電圧などの変化に応じて構造や性質が大きく変化する材料のことである.中でも二酸化バナジウム(■■ )は,室温に近い温度(約■■℃)で絶縁体から金属へと高速に相転移することから,注目されている材料のことである■).■■ にタングステン(■)をドープすると,さらに室温に近い温度(約■■~■■℃)で緩やかな相転移を起こすことができる■).トップダウン製造技術によって■■ 薄膜上に作製された単純な形状のプラズモンナノ構造の報告例はあるが■■■),複雑な形状を持つ金属と■■ のハイブリッドナノ構造の作製は困難である.■■水熱合成は,水溶液中で起こる化学反応に基づくワンステップで環境に優しい製造方法である(有機溶媒を必要としない).前駆体溶液が所定の温度閾値以上に加熱されると,材料合成の反応が可能になったり,促進されたりする.これまでに様々な材料がバルク溶液中で合成されているが,近年,レーザー誘起水熱合成法による酸化亜鉛(■■■)ナノワイヤの合成が実証されている■■■■).また,私の最近の研究では,北海道大学・電子科学研究所の笹木教授と北1.研究の目的と背景 ■プラズモンナノアンテナとは,特定の放射角度,偏光状北海道大学■電子科学研究所■助教■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■( ■ ■年度■奨励研究助成(若手研究者枠)■■■ ■ ■ ■■■■ ) 海学園大学の藤原教授との共同研究により,金ナノ構造上に選択的に■■■シェル層をレーザー誘起成長させることに成功している■■■■ ).この独自の材料成長技術は,局所表面プラズモン共鳴効果を利用して,レーザー照射時に発生する熱を局所的に制御することで,ハイブリッドナノ構造作製を実現している.■■ は一般的な水熱反応で合成できるが■■■■■),このレーザー誘起水熱合成による■■ の局所合成は未だ実証されていない.■図1■金薄膜上における■■ のレーザー誘起水熱合成.プラズモン支援水熱合成を使用して選択的に■■ ナノシェルを作製する. ■本研究では,■■ を相変化材料として用い,高度に調整可能なマイクロ・ナノ光学デバイスの実現のために,レーザー誘起水熱合成による簡便な方法で金と■■ のハイブリッドナノ構造の作製を試みた.本研究では,レーザー誘起水熱合成法を用い,金ナノ構造の周りに選択的にナノサイズの■■ 構造を作製する(図1).レーザー照射により誘− 429 −レーザー誘起水熱合成を利用して金と二酸化バナジウムの ハイブリッドナノ構造を作製

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