天田財団_助成研究成果報告書2024
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2.実験方法2・1実験概要本研究は,単結晶窒化アルミニウム(c面)に対して,レーザー照射とウェットエッチングを複合的に行うことで,幾何学的形状を2段階で変化させ,その形状を光学的手法によって観測し,単結晶窒化アルミニウムの選択的レーザー化学エッチングのプロセスメカニズムを解明するものである.1つ目の工程であるレーザー照射では,Ti: sapphire laser (Coherent社製Libra: 最大出力3 W,波長800 nm,パルス幅70 fs,繰返し1 kHz)から出射される光パルスを出力調整するための光学システムを通過させ,最終的には倍率20倍の対物レンズ(Mplan Apo NIR 20×)を用いて,サンプル上に集光した.サンプルは,精密3軸ステージ上に設置され,レーザー照射箇所一点ごとに照射位置とレーザー出力,走査速度を制御した.この内,レーザー出力の制御範囲は1–20 nJ/pulse,走査速度の制御範囲は10–300 μm/secとした.2つ目の工程であるウェットエッチング前後での形状比較を行うために,レーザー照射直後に顕微鏡観察を行った.次に,2つ目の工程であるウェットエッチ図2単結晶窒化アルミニウムの選択的レーザー化学エッチングの(a)レーザー照射後且つエッチング前と(b)レーザー照射後且つエッチングングを行い,その手順としてまずAZ400K developerと純水を1:5の割合で混合した溶液を作成し,溶液をマグネットスターラー(回転数90 rpm)で撹拌しながら,ホットプレート(温度60℃)上で温度を一定に保ったまま,サンプルを含浸し,100分間のウェットエッチング工程を施した.その後,エッチング後の顕微鏡観察を行った.これらの一連の形状観測工程では,加工サンプルを最大150倍の倍率をもつレーザー走査型顕微鏡(キーエンス社製VK-X260)を使用した.2・2実験結果図2には,単結晶窒化アルミニウムの選択的レーザー化学エッチングの(a)レーザー照射後且つエッチング前と(b)レーザー照射後且つエッチング後の比較画像を示した.この画像比較から,ウェットエッチングによる加工レート向上は明らかになった.レーザー照射後且つエッチング前の結果からはレーザー出力や走査速度依存性は見られなかったが,レーザー照射後且つエッチング後の結果からはその依存性が観測される.− 413 −

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