天田財団_助成研究成果報告書2024
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4.考察図3レーザ加工痕(37, 200 mJ/cm2照射) (a)AFM観察像(b)断面プロファイル■■■■■■■■■と言うべき現象である。この時の照射フルエンスは縦長にフォーカスしたスポット径を正確に測定することは難しいが、約■■■■■■■■■ であり、アブレーション閾値程度であると推定している。我々は■■■■■による利点を活かすことで、低フルエンスによる極めて高精細な線画の形成に成功した。アブレーション閾値や実効侵入長の導出結果、特にサファイア結晶で示されたアブレーション加工閾値付近での実効侵入長よりも浅い加工の可能性については、軟■線レーザのアブレーションの応用となるレーザ加工の特性を知る上で特に重要で有用な情報である。アブレーション閾値近傍の低照射フルエンスでは、内部応力の増加が駆動力となって表面層が喪失するスパレーションの発生が予想されている■■■。スパレーションによる表面層除去は、軟■線の侵入長程度の深さまで影響されることが示されている■ ■。そのため、今回得られた、数原子層分の深さもつ極めて浅い加工構造は、スパレーションとは異なるプロセスを検討する必要がある。サファイアは初期状態では自由電子を持たないことから、金属アルミのような初期から自由電子をもつ材料とは異なる加工プロセスを検討する必要がある。サファイアのエネルギー準位の理論計算から報告されている内殻励起の吸収ラインは最低■■■■■■■であり、■■■ ■軌道に由来するものである■■■。金属アルミで自由電子の逆制動放射に必要となる■■■■■■■と比較すると、光電離に必要なフォトンエネルギーは約■倍も多く、約■■■■■■■■ の低加工閾値を説明するには不十分である。レーザ照射材料のイオン化は内殻準位からの伝導帯に電子遷移する光電離だけでなく、結合エネルギーに相当するエネルギーを投入することで、直接的に化学結合を切断することも想定することが必要となる。結合エネルギーを推定するために、標準状態を仮定すると、標準生成エンタルピーを用いて次の通りに示すことができる。■■ ■■ff■■■■■■■■■■■■■■■→ ■■■ff■■■■■■■■■■+■■■ff ■■■ ■■■■■■■×■■従って、サファイアの結合エネルギーは ■ ■■■■■■■■■■と求められ、アボガドロ数により ■■■■■■と換算することができる。この値は、金属アルミの逆制動放射に必要な■■■■■■■の約 ■ 倍であり、光電離より生じやすいことが推測される。一方で、我々が報告している誘電体材料である■■■ では■■■■■■■加工は認められていない■■ことから、誘電体材料の全てで■■■■■■■加工が達成されるわけではない。■■■ において、サファイアと同様に結合エネルギーを推定すると、標準生成エンタルピーにより次の通りに示すことができる。■■■ ff■■■■■■■■■■■■■→■■■ff■■■■■■■■■■+ ■■ff ■■■ ■■■■■■■× ■従って、シリコンの結合エネルギーは■■■■■ ■■■■■■■と求められ、標準状態を仮定するとアボガドロ数より■ ■■■■■と換算される。■■■ の内殻軌道における光電離に必要なエネルギーは■■■■■■■■■■であり、結合エネルギーと同等である。そのため、化学結合切断だけではなく、光電離も同時に生じてしまい、最表層の化学結合切断のみにより生じる■■■■■■■加工が顕在化しにくい状況であると推測される。■■■■■■■加工を実現する材料の条件として、内殻軌道の光電離エネルギーと比較して十分に結合エネルギーが弱いことが考えられる。この仮定を検証していくことで、今後、他の材料においてもサファイアと同様に■■■■■■■加工の実現性を議論する鍵になると考えられる。− 395 −

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