𝐸𝐸𝐸𝐸(𝑃𝑃𝑃𝑃)=𝐸𝐸𝐸𝐸0�1−�𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃c�𝛼𝛼𝛼𝛼�𝛽𝛽𝛽𝛽 この圧子には,半径𝑅𝑅𝑅𝑅内において次式で表される大きさ𝐹𝐹𝐹𝐹𝐹𝐹𝐹𝐹(𝑟𝑟𝑟𝑟)=� −𝐾𝐾𝐾𝐾(𝑟𝑟𝑟𝑟−𝑅𝑅𝑅𝑅)2 (𝑟𝑟𝑟𝑟<𝑅𝑅𝑅𝑅)(1) 0 (𝑟𝑟𝑟𝑟≥𝑅𝑅𝑅𝑅)ここで𝑟𝑟𝑟𝑟は原子と圧子中心との距離である.また𝐾𝐾𝐾𝐾は定数であり,本解析では10 eV/Å3とした. の斥力が生じる. 本研究ではすべり方向に対して最大の分解せん断応力が生じた箇所から転位核生成が発生すると仮定し,MD解析中にて転位核生成が発生するまでの数段階において各々の原子に対して発生する応力状態を原子応力テンソルとして記録する.それらの原子応力テンソルに対して,HCP構造の3つの底面すべり系へ座標変換し,すべり方向への分解せん断応力成分が最大であるものを特定した. 2.2 ナノインデンテーション中の転位核生成過程の最小エネルギー経路解析(Step 2) ナノインデンテーション中に生じる原子応力状態を考慮した転位核生成の活性化エネルギーを計算するため,最小エネルギー経路解析手法であるNudged Elastic Band(NEB)法6)に基づく解析を実施した.Step 1のナノインデンテーションMD解析での底面押し込み,柱面押し込みの各条件において,得られた圧子直下の応力状態(原子応力テンソル)を均一に作用させた直方体状の完全結晶のモデルを作成し,このモデルをNEB解析の初期状態とした.また,この初期状態に等しいサイズのモデルに転位ループを導入したモデルを作成し,これを最終状態とした.直方体状のモデルについて,𝑥𝑥𝑥𝑥軸をすべり面となる底面に垂直に,𝑦𝑦𝑦𝑦軸をすべり方向に平行にとり,𝑥𝑥𝑥𝑥𝑦𝑦𝑦𝑦平面に直交するように𝑧𝑧𝑧𝑧軸をとった.モデルの原子数は432,000,サイズは10.4 nm×28.9 nm×33.4 nmである.初期状態,最終状態のモデルともに,Step 1のナノインデンテーションMD解析において記録した数段階の押し込み変位での原子応力テンソルに応じてそれぞれ変形させた. 図2 NEB解析モデル (a)初期状態 (b)最終状態(転位ループのみ表示) NEB解析に用いた初期状態と最終状態のシミュレーションモデルを図2に示す.なお最終状態のモデル(図2(b))については配位数で色分けをし,転位ループの部分のみを表示した形で示している.転位ループは𝑥𝑥𝑥𝑥軸の中心に最も近い,隣接する2つの原子層(すべり面)を半径𝑟𝑟𝑟𝑟dの円盤クトル𝒃𝒃𝒃𝒃の1/2だけ移動させることで導入した.NEB解析とにより,活性化エネルギー𝐸𝐸𝐸𝐸を計算した.次のStep 3に重ごとに求めた活性化エネルギー𝐸𝐸𝐸𝐸に対し,次式を用いて(2) ここで𝑃𝑃𝑃𝑃𝐜𝐜𝐜𝐜は活性化エネルギーがゼロとなる臨界荷重,𝐸𝐸𝐸𝐸0は𝑃𝑃𝑃𝑃 = 0 Nの無負荷状態での活性化エネルギー,𝛼𝛼𝛼𝛼,𝛽𝛽𝛽𝛽は関数の形を決定するためのパラメータである.本研究では𝑃𝑃𝑃𝑃𝐜𝐜𝐜𝐜生成が生じた際の荷重とし,残る𝐸𝐸𝐸𝐸0,𝛼𝛼𝛼𝛼,𝛽𝛽𝛽𝛽をフィッティング Step 2にて得られた活性化エネルギー𝐸𝐸𝐸𝐸(𝑃𝑃𝑃𝑃)を基に,反存性を予測する.遷移状態理論より𝑃𝑃𝑃𝑃 = 0 Nの無負荷状態𝑃𝑃のもとでを初期状態とし,一定温度𝑇𝑇𝑇𝑇,一定押し込み速度𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃荷重が𝑃𝑃𝑃𝑃となったときにpop-inが生じる確率密度𝑝𝑝𝑝𝑝(𝑃𝑃𝑃𝑃)と,累積確率𝑄𝑄𝑄𝑄(𝑃𝑃𝑃𝑃)は次式で表される. 𝑘𝑘𝑘𝑘(𝑃𝑃𝑃𝑃)exp�−𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃−1∫𝑘𝑘𝑘𝑘(𝑃𝑃𝑃𝑃′)d𝑃𝑃𝑃𝑃′�𝑃𝑃𝑃𝑃0(3) 𝑝𝑝𝑝𝑝(𝑃𝑃𝑃𝑃)=𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃−1∫𝑘𝑘𝑘𝑘(𝑃𝑃𝑃𝑃)exp�−𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃−1∫𝑘𝑘𝑘𝑘(𝑃𝑃𝑃𝑃′)d𝑃𝑃𝑃𝑃′�d𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃𝑃c0𝑃𝑃𝑃𝑃0𝑃𝑃𝑃𝑃(4) 𝑄𝑄𝑄𝑄(𝑃𝑃𝑃𝑃)=�𝑝𝑝𝑝𝑝(𝑃𝑃𝑃𝑃′)d𝑃𝑃𝑃𝑃′0ここで𝑘𝑘𝑘𝑘(𝑃𝑃𝑃𝑃)は荷重𝑃𝑃𝑃𝑃での転位核生成頻度であり,次式で表𝑘𝑘𝑘𝑘(𝑃𝑃𝑃𝑃)=�𝑘𝑘𝑘𝑘0(𝑹𝑹𝑹𝑹𝑖𝑖𝑖𝑖)exp�−𝐺𝐺𝐺𝐺(𝑃𝑃𝑃𝑃,𝑹𝑹𝑹𝑹𝑖𝑖𝑖𝑖)𝑁𝑁𝑁𝑁(5) �𝑘𝑘𝑘𝑘B𝑇𝑇𝑇𝑇𝑖𝑖𝑖𝑖𝐺𝐺𝐺𝐺(𝑃𝑃𝑃𝑃,𝑹𝑹𝑹𝑹𝑖𝑖𝑖𝑖)=𝐸𝐸𝐸𝐸(𝑃𝑃𝑃𝑃,𝑹𝑹𝑹𝑹𝑖𝑖𝑖𝑖)�1−𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇m�(6) ここで𝑹𝑹𝑹𝑹𝑖𝑖𝑖𝑖は核生成が起こりうるサイト(核生成サイト)𝑖𝑖𝑖𝑖の位置,𝑁𝑁𝑁𝑁はモデル中の核生成サイトの数,𝑘𝑘𝑘𝑘0は核生成サイト𝑖𝑖𝑖𝑖での頻度因子,𝐺𝐺𝐺𝐺(𝑃𝑃𝑃𝑃,𝑹𝑹𝑹𝑹𝑖𝑖𝑖𝑖)は荷重𝑃𝑃𝑃𝑃,位置𝑹𝑹𝑹𝑹𝑖𝑖𝑖𝑖における転位核生成の活性化自由エネルギー,𝑘𝑘𝑘𝑘Bはボルツマン定数,𝑇𝑇𝑇𝑇mは材料の融点である.𝑘𝑘𝑘𝑘0は1.0×1013 s−1,𝑇𝑇𝑇𝑇mは923 K 7)状に指定し,これらの層を互いに逆向きに,バーガースベによって得られた最小エネルギー経路において,初期状態でのポテンシャルエネルギーと最もエネルギーの高い位相点(鞍点)でのポテンシャルエネルギーとの差をとるこて実施するpop-in荷重の予測に用いるため,押し込み荷フィッティングを行った. はStep 1のナノインデンテーションMD解析にて転位核によって求めた. 2.3 ナノインデンテーション中のpop-in発生荷重の確率分布の計算(Step 3) 応速度に関するアレニウスの式とそれにより導かれる確率密度関数からpop-in発生荷重の温度・押し込み速度依される. − 380 −
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