4.結言 ■本研究では、ひずみ速度を考慮したバウシンガ効果の特・ 反転負荷時の降伏応力は、ひずみ速度が速いほど増加するが、線形的に増加しなかった。したがって、降伏・ 高速引張圧縮試験装置を設計製作し、実験を行った。試験速度が速くなるほど、荷重が高くなることを確認 /Fd重ao荷L /Fd重a荷oL N00N00 図11■助走機構 図12■試験片形状 本試験装置を用いて、引張圧縮試験を実施した。試験片は、オーステナイトステンレス鋼のSUS304の棒材を用いた。試験片形状を図12に示す。つかみ部は、試験中の滑りを防止するためにねじ式とした。試験は試験速度10 mm/sと100 mm/sにて行い、電動シリンダを一定距離まで移動させ、試験片に引張負荷を与えた後に、電動シリンダを初期位置に戻すことにより圧縮負荷を与えた。 ■・ ■試験結果 ■試験結果を図13に示す。縦軸はシリンダ荷重、横軸は試験時間である。試験速度が速い方が試験荷重は高く、材料の降伏応力が高くなっていると考えられる。また、初期降伏時の荷重である引き荷重よりも反転負荷後の押し荷重の方が低く、バウシンガ効果の影響が表れていると考えられる。しかしながら、試験結果から応力-ひずみ関係や降伏応力の明確な測定は困難であった。理由としては、試験装置全体の剛性が低く、試験結果が装置全体の変形も含んでしまっていること、試験自体の真直性が保たれておらず、試験片に曲げ荷重が加わってしまったことなどが挙げられる。これらを解決するために、試験機全体の補強や試験片の曲がり、座屈防止の治具などが必要である。 (a) 試験速度 10 mm/s (b) 試験速度 100 mm/s (1) 初期位置(3) 助走治具と接続(2) 電動シリンダ移動開始(4) 助走治具と共に試験片負荷引き荷重引き荷重押し荷重押し荷重3040引き荷重引き荷重押し荷重押し荷重3040単位[mm]200018001600140012001000800600400200200018001600140012001000800600400200性取得のために、万能試験機による引張圧縮試験および電動油圧シリンダを用いた高速引張圧縮装置を開発し、試験を試みた。結果を以下に示す。 ・ 座屈防止治具を用いることにより、相当塑性ひずみ速度0.016 s-1程度までの引張圧縮試験による応力-ひずみ関係を得ることができた。 応力の低下度合はひずみ速度毎に変化すると考えられる。 した。今後、装置全体の剛性向上や試験精度向上のための治具を製作し、高速域のバウシンガ効果の取得を目指す。 試験速度10 mm/s最大1231 N試験時間試験速度100 mm/s最大1831 N試験時間10201020図13■高速引張圧縮試験結果 Time t/ sTime t/ s最大441 N最大575 N− 372 −
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