s力応sY2-sY1ババウウシシンンガガ効効果果sY1[動的状態][静的状態]応力解析1)バウシンガ効果引張圧縮実験等方硬化モデルひずみe鍛造圧延板材成形10-1押出し101応力2)ひずみ速度ひずみ速度ひずみインパクト成形切削キーワード:バウシンガ効果,ひずみ速度,引張圧縮試験計算機の発展にともない、塑性加工においては、成形性の評価に数値解析による成形シミュレーションが頻繁に行われている。数値解析結果を定量的に評価するためには、適切な解析条件の入力が必要不可欠である。解析条件の中でも材料特性は、成形形状、応力・ひずみ分布、工具荷重など様々な評価指標に影響を及ぼす。材料特性において、解析精度に影響を及ぼす重要な因子として、図1に示すバウシンガ効果とひずみ速度が挙げられる。バウシンガ効果は素材に一方向の荷重を加え、塑性変形させた後に、逆方向に荷重を加えた際に、初めに降伏した時よりも降伏応力が低下する現象である1)。応力-ひずみ関係が材料の変形状態によって変化するため、解析精度に影響を及ぼす。また、金属材料は変形速度により変形抵抗が変化することが知られており2)、成形形状にも影響を及ぼす3)。そのため、材料のひずみ速度依存性も、数値解析上では解析結果に影響を及ぼす。バウシンガ効果やひずみ速度を考慮した数値解析の研究はいくつか報告されている4,5)。特にバウシンガ効果を考慮したスプリングバックの予測には、移動硬化型の降伏関数が提案され、広く利用されている6)。しかしながら、多くの研究では、ひずみ速度の領域としては、図27)の10-4~10-2s-1の静的なひずみ速度によって得られた材料特性を利用しており、実加工にて利用されているひずみ速度の領域まで考慮されていない。材料特性を取得する研究においても、ひずみ速度を考慮してバウシンガ効果の特性を取得した例は、引張と圧縮を別々の装置によって測定した研究が一例8)報告されているのみである。本研究では、ひずみ速度を考慮したバウシンガ効果の特性取得のために、(1) 万能試験機によるひずみ速度を考慮したバウシンガ効果の特性取得、(2) 高速引張圧縮試験装置の開発を行った。(1)では、市販の万能試験機を用いてひずみ速度毎に引張圧縮試験を行い、バウシンガ効果とひずみ速度の両方を考慮した材料特性の取得を試みた。(2)では、市販の万能試験機では測定困難な最大102s-1程度までの高速度かつ荷重反転負荷機構を兼ね備えた専用の試験装置を開発することにより、高速度域でのバウシンガ効果の特性取得を試みた。地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター研究開発本部物理応用技術部機械技術グループ1.研究目的と背景( ■ ■年度奨励研究助成(若手研究者枠)■■■ ■ ■■■■■■ )副主任研究員村岡剛2.万能試験機を用いた引張圧縮試験図1バウシンガ効果およびひずみ速度の影響10-3図2塑性加工の数値解析におけるひずみ速度領域 ・■引張圧縮試験および試験条件表1に引張・圧縮試験条件を示す。本試験では、供試材として、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304の板材を用いた。引張圧縮試験には、万能試験機「AllroundLine Z100THW」(ZwickRoell社製)を用いた。「AllroundLine Z100THW」は、試験片つかみ部が油圧式チャックになっており、試験中の試験片とつかみ部の滑りを防止できる。ひずみは、レーザー変位計を用いて試験片表面のひずみを測定した。試験では、ひずみ1%狙いで引張圧縮変形を制御した。標点間距離は10 mmとし、最速0.5mm/sまでの試験速度にて実施した。なお、0.5mm/sよりも速い試験速度も実施したが、レーザー変位計および試験装置の制御の都合により、試験を実施することができなかった。試験片形状、座屈抑制治具および試験機外観を図3、図4および図5に示す。引張圧縮試験では、圧縮変形中に試験片が座屈を生じる可能性があり、座屈により正確な応力-ひずみ関係が測定できなくなる。座屈の防止には様々な手法が用いられているが、本研究では、先行研究9)を参考に試験片と治具の間に微小な隙間を設ける隙間型の治ssee010-2100ひずみ速度[s-1]本研究の対象[準静的状態]102103104− 369 −高速変形域におけるバウシンガ効果の特性取得と塑性加工の成形性に及ぼす影響
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