天田財団_助成研究成果報告書2024
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3.実験結果ナ内部の算術平均粗さはRa = 0.18 µmである.パンチは,後方押出しとなるように選定し,成形部径がφ1.47 mmである.供試ビレットは,純Mgの丸線材φ1.70 mmより切り出し,長さ4.0 mmに仕上げた.Table 1 にビレットの形状寸法,結晶粒径,機械的性質,組織図を示す.ビレットの平均結晶粒径は55.1 µmであり,平均ビッカース硬度は39.2HVであった.押出し条件は,ラム速度0.1 mm/s,ラムストローク1.0 mmで,室温とした.本実験では,各ビレットでの押出し試験を5回繰り返し行い,再現性の確認をしている.ダイへの凝着評価はElectron Probe Micro Analyzer (EPMA)を用いた.製品ミクロ組織分析はElectron Back Scattered Diffraction Pattern (EBSD)を用いた.■■■■押出し荷重線図と製品形状Fig. 4に鏡面パンチ,ミリテクスチャパンチ,マイクロテクスチャパンチ,ナノテクスチャの表面性状を変えたパンチを用いた時の押出し荷重-ストローク線図を示す.最大押出し荷重は鏡面パンチが最も高く3.98kNとなった.また,マイクロテクスチャパンチでは3.63kNとなり,テクスチャサイズを小さくすることで荷重を低減できた.一方,ナノテクスチャパンチまでパンチ表面テクスチャを小さくした場合に2.96kNと,更なる荷重低減に至った.(a) (b) Fig. 1extrusion; (b) Schematic diagram of extrusion apparatus(a) Photograph of the experimental setup for micro Fig. 2Dimensions of die and punchFig. 2Dimensions of die and punchFig. 3に本研究で使用したパンチを示す.溝の測定は非接触三次元粗さ測定装置を用いた.Fig. 3(a)は表面を研削仕上げした鏡面状態のパンチである.Fig. 3(b)はFig. 3(a)に粒度400の研磨紙を用いて10µm程度の溝を掘ったパンチである.溝パンチは深さ5µm,ピッチ100µm程度のマイクロサイズの溝が多数入っていることがわかる.Fig. 3(c)はFig. 3(a)に示した研削仕上げ状態の鏡面パンチに極短パルスレーザによりナノスケールの溝周期構造(Ra=0.099µm)を付与した.また,ナノ溝方向はパンチ進行方向に対して平行に付与した.Table 1Dimension and properties of billetBillet MaterialBillet ShapeVickers HardnessMicro structureGrain sizeFig. 5にラムストローク1.0 mmでのそれぞれのパンチのマイクロ後方押出し加工後の断面形状と各製品における後方押出し長さ(lb)を示す.lbは鏡面パンチ,マイクロテクスチャ,ナノテクスチャでそれぞれ1.72mm,1.92mm,Fig. 3Grooved punchesPure Mgφ1.7×4.0mm39.2±3.0HV55.1 μm− 356 −

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