天田財団_助成研究成果報告書2024
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図5微小曲げ試験から得た0.2 %耐力7)3・2耐熱チタン合金における室温下でのDwell fatigue低下に関する検討6,8)耐熱チタン合金であるTi-6242SおよびIMI 834は荷重保持を伴う室温環境下での疲労試験(Dwell fatigue試験)を行った場合,通常の疲労試験よりも疲労強度が大幅に低下することが指摘されている9,10).Dwell fatigue強度低下の要因として,α結晶粒の高い異方性により,硬い結晶粒と柔らかい結晶粒の境界で転位が蓄積し,硬い結晶粒側に応力集中が生じることで,破壊しやすくなることが推測されている5,11).また,Dwell fatigue強度が低下するチタン合金の場合,結晶方位で区別された硬い結晶粒と柔らかい結晶粒のひずみ速度依存性が異なることが指摘されている12~13).一方で,その多くがシミュレーションによる検討であり,実験的に評価されている例は少ない.また,ナノインデンテーション試験によるひずみ速度依存性の評価についてはDwell fatigue強度低下を引き起こすTi-6242と低下しないTi-6246での評価に限られており,その他のチタン合金では行われていない.したがって,本研究では,Dwell fatigue強度の低下に影響を与える要因について明らかにすることを目的として,Dwell fatigue強度の図425 ℃および350 ℃での微小曲げ試験結果の一例7)図6ナノインデンテーションによるひずみ速度依存性評価(C軸角度で分けた場合)8)低下を引き起こすTi-6242SおよびIMI 834に対して微小材料試験を行った6,8).図6に,ナノインデンテーション試験によって得られたTi-6242SとIMI 834における各結晶粒のひずみ速度依存性を示している.先行研究では,六方晶のC軸角度により硬い結晶粒と柔らかい結晶粒を区別していたため,本研究においてもC軸角度が30°以下の結晶粒を硬い結晶粒,60°以上の結晶粒を柔らかい結晶粒と定義して評価を行った.− 352 −

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