天田財団_助成研究成果報告書2024
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AF-2021036-C2奨励研究助成(若手研究者枠)AF-2021037-C2奨励研究助成(若手研究者枠)塑性加工,有限要素解析,材料モデルバウシンガ効果,ひずみ速度,引張圧縮試験muraoka.tsuyoshi@iri-tokyo.jp塑性加工,機械構造設計非熱的応力,熱的応力,冷間加工tkoizumiuitec@gmail.com地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 研究開発本部物理応用技術部機械技術グループ 副主任研究員東京工業高等専門学校 機械工学科 准教授村岡 剛小泉 隆行− 32 −塑性加工塑性加工高速変形域におけるバウシンガ効果の特性取得と塑性加工の成形性に及ぼす影響冷間強加工を施された構造用金属材料の熱的強度と非熱的強度の分離に関する研究本研究は成形シミュレーションの高精度化を目指して、ひずみ速度を考慮したバウシンガ効果の特性取得を行う。計算機の発展にともない、塑性加工においては、成形性の評価に数値解析による成形シミュレーションが頻繁に行われている。数値解析結果を定量的に評価するためには、適切な解析条件の入力が必要不可欠である。解析条件の中でも材料特性は、成形形状、応力・ひずみ分布、工具荷重など様々な評価指標に影響を及ぼす。本研究では、解析精度に影響を及ぼす重要な因子として、ひずみ速度を考慮したバウシンガ効果の特性取得を行う。市販の万能試験機と自作した高速引張圧縮試験機を用いてひずみ速度毎に引張圧縮試験を行い、バウシンガ効果とひずみ速度の両方を考慮した材料特性の取得を試みた。実験により、一部のひずみ速度での反転負荷の応力-ひずみ関係を取得できた。構造用材料に必要な強度を考える場合,第一に静的負荷に対する恒久的な応力保持能力が必要である.カーボンニュートラルの実現に向けて,これまで以上に安全率を抑制した無駄のない極限的な設計が求められている.準静的なひずみ速度の単軸引張試験結果から,材料が有するひずみ速度依存性を除去して流動応力を評価することが重要である.本研究では,応力緩和試験とカーブフィッティングによる外挿法を用いて,ばね用冷延りん青銅板の非熱的応力成分(ひずみ速度に依存せずに生じる応力)を評価した.準静的なひずみ速度の単軸引張試験で観測される0.2%耐力の90%程度が非熱的応力成分であることを明らかにした.また,熱的応力成分(ひずみ速度に依存して生じる応力)が10%程度含まれており,一概に無視できないことがわかった.ゆえに,構造用材料の静的強度の直接的な評価方法の一つとして,非熱的応力成分の評価が有効であることが示唆された.

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