123456■■■コーティング幅の評価コーティング後のギヤ歯面に対し,三次元測定機を用いてギヤ歯面上の座標を測定した.未加工のギヤ歯を基準とし,差分をとったカラーマップを図7に,その結果から測定した歯たけ方向のコーティング幅を表2に示す.位置1のコーティング層は,歯たけと歯筋の両方向ともムラがあり,歯底に大きく肉盛りされている.位置2では有効かみ合い幅に肉盛りされているが,凹凸が多くみられ,肉盛りされていない部分が散見された.位置3~5では,歯底付近の肉盛りをさけつつ,比較的ムラなく肉盛りされている.図7三次元測定結果表2照射位置ごとのコーティング幅測定結果位置6では,コーティング層がギヤ歯先端にのみ形成されている.これは,レーザが隣の歯に遮断されてしまい,広い領域にコーティングすることが困難であったことが原因であると考えられる.また,コースト歯面において,歯先部分が赤くマッピングされているが,これは肉盛り量(a)ドライブ歯面■■■(b) コースト歯面が多いわけではなく,入熱による変形が起きているためであると考えられる.この測定結果に加え,歯面に対してのレーザの入射角と歯面照射位置からのデフォーカスが大きくなりすぎない点として,位置4(歯先円上:x = 16, z = 20.6)をギヤへのHS-LMDによるコーティングにおける最も適したノズル位置とした.■■ コーティング層と母材境界の元素分析図8にコーティング層と母材の境界付近におけるCrとOの元素マッピング結果を図8に示す.右下がコーティング層側,左上が母材側である.材料粉末に多く含まれるCrが,コーティング層側から母材側に行くにつれ徐々に減少し,組成がなだらかに変化していることがわかる.このことから,境界部が緻密に接合していると考えられる.また,Oのマッピングが薄く一様であることから,コーティングをする際に境界面で酸化が起きずに加工できていることがわかる.■■■コーティング層と母材内部の硬さ試験結果マイクロビッカース硬さ試験機を用いて,コーティング層および母材内部の硬さを測定し,熱処理したギヤと比較した結果を図9に示す.従来の熱処理に比べ,硬さが大幅に低下した.HS-LMDによるコーティング層はそのままでは,ギヤ歯に要求される十分な硬化層を形成することが困難であることがわかった.また,コーティング層から母材内部に向かって徐々に硬さが低下している.急激な硬度差は内部残留応力が残ることがあり,歯の折損へとつながるため,この緩やかな硬度変化は耐折損性の観点から有意である.(a)Cr■■■■■■■■■■(b)O図8コーティング層と母材境界での元素マッピング分析結果図9マイクロビッカース硬さ試験結果Irradiate positionCoating width [mm]Drive sideCoast side6.595.915.043.995.812.395.115.465.245.295.263.17− 336 −
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