3.高速度カメラによるメルトプール撮影結果■■■高速度カメラによるメルトプールの観察HS-LMDによるギヤへのコーティング中の様子を,高速度カメラを用いて撮影した.結果を図4に示す.用いたカメラは3,000 frame/秒で撮影が可能である.レーザが1000 Wの条件では,メルトプールは形成されず,溶融された粉末やスパッタが表面に付着する様子が確認できた.入熱が不十分であり,粉末と母材の両方を溶融することができず,コーティング層は形成されなかった.レーザ出力が1600 Wの条件では,メルトプールは形成されたものの,ギヤ歯端部までは及んでいなかった.レーザ出力が2000,3000 Wの条件では,良好に形成されたメルトプールがギヤ歯面上を移動し,隣の歯に移っていく様子が確認できた.また,歯面には液体の表面張力と表面の温度分布によって生じる,マランゴニ対流と呼ばれる流動も確認した.図4のような,メルトプール中心部付近で深部に潜るような流れをし,周縁部が中心部に向かうような挙動をする場合は,周縁部に比べ,中心部の温度が高くなっている状態である.回転中のヘリカルギヤのような,粉末焦点が時々刻々と変動する対象へのHS-LMDにおいても,粉末および母材が溶融され,メルトプールが形成されることで金属積層が可能であることがわかった.図4HS-LMDにより形成されるギヤ歯面の■■ ■■■によるメルトプールの評価本研究で用いた三次元積層造形装置に搭載されているThe adaptive process control(APC)を用いて,加工中のメルトプール温度とメルトプールサイズを測定した結果の一部(2000 W■■35 min-1)を図5に示す.メルトプールサイズは画像よりピクセル数をカウントして求めた.回転速度を35min-1として1000 W,1600 W,2000 W,2000 W (defocus 2 mm) の4条件について調べた結果,平均メルトプールサイズは順に2223px,7918px,10286px,9773pxで,平均メルトプール温度は順に1437 ℃,1585 ℃,1625℃,メルトプール1605℃であった.このことから,メルトプール温度が1600℃付近まで上昇すると,マランゴニ対流が観察可能な十分なメルトプールが形成されると考えられる.また,Laser powerFeed rateMetal powder supplyCarrier gas supplyShield gas supplyRotational speedCoating lengthMetal powderデフォーカスによりメルトプール温度が低下したことから,熱影響部の抑制が期待できる.図5HS-LMDによる金属コーティングにおけるメルトプールサイズと温度(2000W, 35min-1)おいて,レーザの照射位置は時々刻々と変動するため,最適なレーザノズル位置を理論的に断定するのは難しい.そのため,供給粉末の焦点を図6に示す6点で変化させ,コーティング試験を行った.1, 2, 4, 6はギヤの歯先円上の点であり,3, 5は4からZ軸上下方向にそれぞれ3 mm シフトさせた点である.表1にコーティング条件を示す.4.■■■■■■によりコーティングされたギヤ歯の評価本研究で対象とするヘリカルギヤへのコーティングに図6粉末焦点位置表1金属積層条件1000 W20 mm/min18 g/min6.0 L/min8.0 L/min35min-120 mmTool steel(Ferro 44)− 335 −
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