本研究の推進支援を頂いた天田財団,著者の研究室メンバー,及びレーザーデバイス材料や表面活性化接合技術謝 辞 参考文献 測可能であることが判明した.それに対し,ブリュースター角から大きく外れた光入射角θにおいてはバルク由来の非共鳴信号が一桁程度増加し,ナノスケール界面由来の振動共鳴ピークがバルク由来の信号に埋没する傾向にあることが判明した.従来の二次非線形光学効果に立脚した非線形分光分野では,光パルス入射角θにS/N比はそれほど大きく依存しないが,三次非線形光学効果に立脚した界面計測法を高感度化・洗練化させる際には,バルク由来のバックグラウンド信号の低減のために入射角θを適切に設定することが極めて重要であることが明らかになった. 更にもう一つの光の入射角度として,面内方位角φを系統的に変調させた際の信号変化も調べた.その結果,面外方位角θの場合と同様に,φ入射角に敏感に応じてバルクの非共鳴バックグランド信号が増減する様子を捉え,ナノスケール界面由来の振動共鳴ピークもφ入射角に敏感に応じて顕著に増減することも明らかになった.以上の結果から,試料の高感度界面計測を実現するための最適な入射角θ, φの存在が判明した. 上記のように,本研究ではバルクによる吸収ロスが避けられない『赤外・テラヘルツ光による格子運動の1光子直接励起』に立脚した従来のSFG分光の計測方法論を脱却し,吸収ロスなくバルクを透過できる2種の可視・近赤外領域の光(ω1光,ω2光)の多光子過程を用いて,表面界面系の格子振動(Ωvib)を共鳴励起する界面分光方法論の開発に成功した.引き続き,界面分光計測法の方法論を真空チャンバー内での表面活性化接合の観測に展開し,次世代マイクロチップレーザーデバイスの高度化を目指し研究を推進していく. でご協力下さった共同研究者の平等拓範先生及び平等研究室のメンバーの方々にこの場をお借りして感謝申し上げます. 1) L. Zheng et al., Opt.Mat.Exp.7,3214 (2017). 2) L. Zheng et al., Opt.Exp.27, 30217 (2019). 3) T.Sugimoto et al., Phys. Chem. Chem. Phys. 22, 16453 4) T. Sugimoto et al., Nature Phys. 12, 1063 (2016). (2020). 3.結び − 333 −
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