天田財団_助成研究成果報告書2024
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EΔ差色 4.検証実験 ■■・■■レーザー照射距離と表面色の関係■ 図7に結果を示す.焦点距離をレーザー照射面に合わせ5005 れば,照射距離によらず表面色は変化しないと予想されたが,同図から照射距離が長くなるにともなって,基準色との色差が広がることがわかった.CIE(国際照明委員会)によれば,∆E ≥ 12のとき異なる色として知覚されるとされている11).したがって,本実験において,立体物の高さが5 [mm]程度であれば,同一色として認識されるが,それ以上の高さになると異なる表面色となる.この結果から,立体物に色差のない表面色を加飾するためには,照射距離を一定範囲内に保持する必要があることがわかった. ■■・ ■段差モデルへのレーザー加飾実験■■入力画像を立体物にレーザー加飾を施し,その成果物からシステムの有効性を検証した.図8の入力画像(750×750 [pixel])には5色のパーツからなるバラの図柄が描かれており,各パーツの色は入力画像のRGB値に近似するカラーパレットのRGB値に変換した.表1は,RGB値とレーザーパラメータとの関係を示すカラーパレットである.図9に立体物の図面(図9(a)),平面モデル画像(図9(b)),3次元モデル画像(図9(c))を示す.加飾ソフトウェアによって,3次元モデル画像から5つの平面モデル画像を生成した.平面モデル画像から生成した形状データ,レーザーパラメータおよび,移動機構の移動量(Δx, Δy, Δz)の各情報をもとにステンレス鋼SUS304ブロックをレーザー加飾した.レーザー加飾の動作は,まず最下段にレーザー照射した後,テーブルを下向きに2 [mm]移動し,この動作を再帰的に繰り返した.図11にレーザー加飾結果を示す.同図から,3次元モデル画像と同様の結果が再現されていることがわかる.なお,加工時間は670秒であった. ■■・■■傾斜モデルへのレーザー加飾実験■■入力画像および,カラーパレットはいずれも4・2節と同様のものを使用し,傾斜のある立体物(ステンレス鋼SUS304ブロック)にレーザー加飾した.図10に立体物の ∆E = √(L0* - LΔz*)2+(a0* - aΔz*)2+(b0* - 𝑏𝑏Δz*)2255 kHz6 kHz7 kHz201510図6■実験の模式図 図7■色差結果 ■レーザーを使用して明瞭な金属表面色を得るためには,安定した加熱が重要である.そのため,レーザー照射熱量が分散しないように焦点距離をワークの表面に合わせる必要がある.そこで,ワーク表面に焦点距離を合わせた状態で,照射距離によるワーク表面色の変化を調べた.実験の模式図を図6に示す.レーザー照射口からワーク表面までの距離を照射距離として,基準面からの相対距離Δzが1,2,5,10 [mm]に変化した時の表面色について検証を行った.実験には,ステンレス鋼SUS304材(厚さ1 [mm])を使用した.テーブルにワークをセットし,8×8 [mm]の矩形範囲にレーザーを照射した.レーザーパラメータは,出力25 [W],走査間隔0.04 [mm],走査速度200 [mm/s],繰り返し周波数5,6,7 [kHz]とした.表面色は,分光測色計(Konica Minolta社製,CM-2600d)を用いて測色した.表面色の評価は,レーザー照射基準面の表色値L0*a0*b0*を基準色として,基準面からの相対距離Δzにおける表色値LΔz*aΔz*bΔz*との色差∆Eを式(3)によって比較した10).なお,測定値は矩形範囲内3か所の平均値を使用した. 相対距離ΔZ■mm]10(3) 図8■入力画像 表1■カラーパレット − 327 −

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