■ここで,TransはX軸,Y軸および,Z軸方向にそれぞれa,bおよびcに平行移動し,RotはY軸まわりにθ回転することを表している.なお,テーブルは,X軸Y軸ともに±100 [mm],Z軸方向に50 [mm],Y軸方向に±60°の範囲で移動,回転する. M = Trans(a, b, c) Rot(y, θ)ザー加飾の準備が完了する.加飾ソフトウェアからコントローラに対してレーザー加飾命令と移動機構への移動命令を送信することで,立体物へのレーザー加飾を開始する. ■■・■■コントローラ■コントローラは,コンピュータからの制御命令を受信した後,メモリ内のデータをもとにレーザー加工機と移動機構を制御する.形状データとレーザーパラメータはレーザー加工機に送信され,他方,レーザー照射面の位置(x, y, z)と姿勢角度θは移動機構に送信される.また,コントローラは,レーザー加工機と移動機構それぞれの戻り値によって双方の同期をとっている. ■・■■レーザー加工機■本研究では,主に金属への微細加工用途として使用されているYVO4固体レーザーを使用する.レーザー加工機は,発振器内の駆動機構を利用して,125×125 [mm]の範囲で走査することができる.金属表面色に影響を及ぼすレーザーパラメータには,出力(最大25 [W]),走査速度(最大12000 [mm/s]),繰り返し周波数(最大400 [kHz]),走査間隔(最大1 [mm]),走査角度(0°~359°),焦点距離(最大50 [mm]),走査回数(最大100回)がある. ■■・■■移動機構■■移動機構は,X,Y,Z軸および,Y軸周りの回転軸の電動アクチュエータから構成される.座標系は,図5に示すとおり,移動機構の座標系をワールド座標系の原点とし,Y軸方向に対して時計回りに姿勢角度θを定義する.移動機構の座標系からワーク座標系の変換Mは式(2)により表され,コントローラから受信するテーブルの位置(x, y, z)(2) および,姿勢角度θをもとに各アクチュエータが動作する. 図3■システムの外観 図4■システムのブロック図 有しており,ワークに窒素ガス等を噴射する治具を備えている.システムは,コンピュータ(OS:Windows11,CPU:Intel Core i5),レーザー加工機(keyence社製MD-X2500,波長1064 [nm])および,電動アクチュエータからなる移動機構(IAI社製RCPシリーズ)で構成される.図4にシステムのブロック図を示す.コンピュータで作成したレーザー加工データをコントローラに転送しておき,制御命令を指示することで,コントローラはレーザーの照射と移動機構と同期をとりながらレーザー加飾を行う.以下に構成ユニットの詳細を説明する. ■・ ■コンピュータ(レーザー加飾ソフトウェア)■コンピュータでは,開発したレーザー加飾ソフトウェアにより,加工データの作成とコントローラへの制御命令の指示を行う.以下にレーザー加飾ソフトウェアの処理の流れを説明する.レーザー加飾ソフトウェアは,立体形状データ(stl)とカラー画像(jpg,bmp等)を読み込み,立体形状にカラー画像をマッピングした3次元モデルを生成する.つぎに,3次元モデルからレーザーを照射する複数の平面モデルを生成し,レーザーが走査する形状データを求める.各平面モデルから3次元空間上の位置・姿勢を求め,移動機構の移動量データとする.また,平面モデルにマッピングされた画像の色(RGB値)を基に最適なレーザーパラメータを選定する.レーザーパラメータの選定方法は,レーザーパラメータと金属表面色の関係を示すデータベース(カラーパレット)の中から,カラー画像との色差が最も小さいものを自動選択する1).このように生成された形状データ,レーザーパラメータおよび,移動機構の位置・姿勢データをコントローラのメモリに転送し,レー図5■システムの座標系 − 326 −
元のページ ../index.html#328