は,溶接速度の増加により入熱が減少したためであると考えられる. ■■・■■■■■■分析結果■■前節において観察された界面組織の組成を調査するために,EPMA分析を実施した.例として,上板がAlの場合,レーザ出力2 kW,溶接速度15 mm/sの条件での分析結果を図5に示す. ■図中(a)に示すSEM像の赤色の四角で囲まれた領域に対し,EPMA面分析を実施した結果を(b)に示す.その結果,Al母材側にはMgが,Mg母材側にはAlがそれぞれ検出された.このことから,接合界面において両金属の相互拡散が起こったものと推察される. ■さらに,(a)のSEM像の四角内に赤色の点で示した2箇所の定量分析結果を(c)に示す.これらの結果とAl-Mg系平衡状態図11)から,Al母材側の界面組織は主にAl3Mg2,Mg母材側の界面組織は主にAl12Mg17であると推定された.よって,図4におけるAl母材側の白色の界面組織は主にAlリッチな金属間化合物,Mg母材側の黒色の界面組織は主にMgリッチな金属間化合物により構成されていると考えられる. ■■・■■継手の引張せん断強さ■■接合部の強度を評価するために引張せん断試験を実施した.試験片の形状は幅10 mmの矩形とした.図6に溶接長1 mmあたりの引張せん断強さを示す.(a)は上板がMgの場合,(b)は上板がAlの場合であり,レーザ出力が2 kWの場合を丸印,1.5 kWの場合を三角印でそれぞれ示している. ■上板がAlの場合は同一の実験条件における実験結果の■■・ ■継手のビード外観および断面■■図3にレーザ出力2 kW,溶接速度15 mm/sのレーザロール溶接継手の表裏両面のビード外観,およびビード断面を示す.(a)は上板がMgの場合,(b)は上板がAlの場合を示している. ■上板の材質に関わらず,表ビードに関しては,レーザおよびローラが通過した痕跡として,ビードに縞模様が観察された.この模様は,上板がAlの場合により鮮明に観察され,裏ビードには観察されなかった.次に,ビード断面を観察すると,レーザによる加熱とローラによる加圧により上板が薄くなっているのが観察できた. ■■・■■接合部断面における顕微鏡組織■図4にレーザ出力2 kW,溶接速度15~25 mm/sのレーザロール溶接継手の接合部断面における顕微鏡組織を示す.上段の写真は上板がMgの場合,下段の写真は上板がAlの場合を示しており,観察位置は接合部断面の中央とした. ■図中に矢印で示すように,上板の材質に関わらず,Mg母材側には黒色の界面組織が観察され,Al母材側には白色の界面組織が観察された.また,各界面組織の領域の大きさから,上板がAlの場合の方が界面組織の生成量が全体的に少ないことが分かった.これは前述のように,熱伝導率がMgよりもAlの方が大きいことが関係しているものと考えられる.また,上板の材質に関わらず,溶接速度の増加により各界面組織の領域の大きさは減少した.これ− 322 −
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