6.結言謝辞参考文献は解析モデルであり,グラフは図中に示した熱源が温度測定点を通過したときの温度変化の解析結果である.条件■■および■■にて堆積造形を行った.図15は,図14のグラフの破線囲み部分を拡大したものであり,両条件にて■層目を堆積しているときの温度変化についてシミュレーション結果と実験結果を比較して示している.なお,横軸上の位置は,便宜的に昇温過程で■■■℃付近に達した時刻を一致させた.昇温時にある温度に達してから冷却時に再び同じ温度に至るまでの時間を■としたとき,条件■■に比べて条件■■の方が時間■が長く,また,冷却が緩やかであるが,それらの傾向はシミュレーションで予測できていることがわかる.シミュレーション結果に比べて実験結果の時間■が長くなるのは,測定スポット径が大きさを持っていることが一因になっていると考えられる.各堆積条件における■ ■■~■■■■℃の間の冷却速度は表3に示すとおりであり,シミュレーションにより予測した値に近い実験値が得られた.■■■曲げ強さ条件■■および■■にて造形した堆積層について曲げ強さを評価した.試験は ■■節と同様とし, つの金型(図13)から 本ずつ計■本を切り出して曲げ試験に供した.試験結果を図16に示す.冷却速度が ■■■℃■■付近になる条件■■において高い曲げ強さを示し,より大きな冷却速度になる条件■■では強度が低下した.この傾向は図5と同様であり,適切な冷却速度の堆積条件で造形することにより高い曲げ強さが得られることが確認された.金属堆積造形による高速度工具鋼金型の靭性向上を目的に,堆積造形時の凝固過程における冷却速度が堆積層の炭化物分布や曲げ強度に及ぼす影響について調べた結果,以下の結論を得た.ff■■冷却速度が大きくなるほど堆積層の曲げ強さは高くなる傾向が認められた.ff ■いずれの条件でも柱状デンドライト組織を呈しており,デンドライトアーム間には共晶炭化物が形成されていた.ff■■冷却速度が小さい条件では,後続層の熱影響により共晶炭化物が厚いフィルム状に凝集し,曲げ試験におけるクラックの伝播経路になった.ff■■冷却速度が大きい条件では,共晶炭化物は細い線状となり,炭化物間の距離は小さくなった.このために炭化物の破壊が生じにくくなり,曲げ強さが向上したことが推察された.ただし,冷却速度が過剰に大きい条件では堆積層に割れが生じ,曲げ強さが低下した.ff■■堆積造形プロセスのシミュレーションにより造形時の冷却速度を予測できた.ff■■適切な冷却速度となる堆積条件で造形することにより高い曲げ強さが得られることが確認された.本研究は,公益財団法人天田財団の一般研究開発助成によるものであり,ここに付記して深く感謝の意を表します.■)京極秀樹■■生田明彦■■上森武■■柿迫健■■他 名■■“工具鋼粉末のレーザ積層造形”, 近畿大学次世代基盤技術研究報告書,■■■■■■■ ■■ ■■■■■■■■■■■ )薩田寿隆■■石川毅■■高橋和仁■■横田知宏■■他■名■■“粉体レーザ肉盛により形成した高速度工具鋼肉盛層の特性”, 熱処理,■■■■■■■■■■■ ■■ ■■■■■■■■■■■■■■■)山本隆久■■澤田俊之■■“レーザークラッド及び■■■で作製した粉末ハイス層の特性”, 溶接学会全国大会講演概要,■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■)佐藤忠雄■■相沢力■■“プレス型材料と熱処理”, 日刊工業新聞社■■■■■ ■■■■ ■■■■■■■■■)三谷状士■■沙魚川智之■■渡邊千尋■■門前亮一■■“高速度工具鋼の疲労挙動への窒素の効果”, 日本金属学会誌,■■■■■ ■■■■■ ■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■)高木節雄■“多結晶フェライト鋼における降伏・変形挙動”, 日本金属学会誌,■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■)仁平宣弘, “高速度工具鋼(ハイス)の焼入れ焼戻し”, 工業加熱,■■■■■■■■■■■ ■■ ■ ■■■■■■■■■ ■■表3各堆積造形条件での冷却速度(1250→1150℃冷却時)(1250→1150℃冷却時)図16金型の堆積層の曲げ強さ− 319 −
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