2μm5.冷却速度が曲げ強さに及ぼす影響に関する検証適切な範囲の冷却速度で造形することにより高い曲げ図12■■■℃維持条件の堆積層に生じたクラックこれらのことは,割れが共晶炭化物を横断しマトリックス内で生じたことを示しており,デンドライトアーム間の共晶炭化物で割れた■■間隔条件や連続条件とは対照的である.この原因は連続条件における強度低下と逆の説明で理解される.すなわち,炭化物のサイズや炭化物間の距離(λに相当)が小さいために炭化物の破壊が生じにくくなり,結果として大きな応力を要するマトリックス内での破壊に至ったと考えられる.造形時の冷却速度が大きな条件で堆積層の曲げ強さが向上した一方,■■■℃維持条件では低下した. ■■節で述べたように同条件では堆積直後に割れが生ずる場合があった.目視では割れが認められなかったものの,堆積層の断面を詳細に観察すると図12のような微小なクラックが生じており,これが予備亀裂となって曲げ強さを低下させたと考えられる.強さを持った堆積層が得られることが期待される.本章ではこのことを検証するために,冷却速度の目標値を定めて造形したときの堆積層の強度を評価した結果について述べる.実際の金型形状を対象として所望の冷却速度を実現する堆積条件を決定するにあたり,有限要素法によるシミュレーションを用いることを試みた.■■■シミュレーションモデルの作成図2の試験片の堆積実験において得られた表2の堆積条件と冷却速度の関係を再現するシミュレーションモデルを作成した.シミュレーションソフトには■■■■■■■■■■■■■■■■(■■■■■■■■■■)を用い,関与する材料の熱伝導率,放射率,熱伝達率,堆積層を形成するビードの大きさ,堆積材料の融点をパラメータとしてシミュレーション結果と実験結果との合わせ込みを行った.■■ 金型の造形シミュレーション図13に示す形状のせん断加工用金型を対象とした.基材には■■×■■× ■■■の■■■■■■製ブロックを用いた.基材の一辺に幅■■■■,深さ■■■の入隅を設け,長さ■■■■のビードを幅方向に■列,高さ方向に■層積層して高さ■■■■■の堆積層を造形した.また,堆積層と基材の温度をそれぞれ 色放射温度計と熱電対で測定した.図13検討対象としたせん断加工用金型図14堆積造形のシミュレーションの一例図15堆積層の温度変化についてのシミュレーション作成したシミュレーションモデルを用いて つの堆積条件を探索した.■つは層を堆積するごとに基材温度が ■■℃に低下するのを待って次の層を堆積する条件(以下,条件■■と記載),もう一つは図5にて最大の曲げ強さを示した■■■℃維持条件と同等の冷却速度( ■■■℃■■)が得られる条件(以下,条件■■と記載)である.検討の結果,レーザ出力と送り速度は一定かつ送り方向は一方向として,条件■■ではビードを■列堆積するごとに堆積を■■~■■■停止させる条件,また,条件■■ではビードを■列堆積するごとに■■■■停止させる条件を得た.シミュレーションの一例を図14に示す.図中の立体図結果と実験結果の比較− 318 −
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