■2.実験方法■■ ・■■フェムト秒レーザ照射■ キーワード:フェムト秒レーザ,ダイヤモンド,イオン注入 用されており,電力が支える現代社会に不可欠な存在である.パワー半導体の基板となる材料として,長年にわたりケイ素(■■)が用いられてきたが,■■基板パワー半導体の性能は■■の物性値に基づく限界に近づいていると考えられている.パワー半導体のブレークスルーを実現するために■■よりも広いバンドギャップを有する半導体である,炭化ケイ素(■■■),窒化ガリウム(■■■),ダイヤモンドを基板とする素子の実用化が進められている.これらのワイドバンドギャップ半導体の中でも,ダイヤモンドは最もバンドギャップが広く,絶縁破壊電界やキャリア移動度,熱伝導率の点で最も優れた物性値を有しており,究極のパワー半導体材料と見なされている.■■一方,ダイヤモンド基板パワー半導体素子を実用化するには,様々な技術的障害が残されている.その一つとして半導体素子を作製する際に不可欠な,イオン注入による局所ドーピングが困難であることが挙げられる.ダイヤモンドにイオン注入を行うと,アモルファス化が起こることがある.他の半導体材料の場合は,アモルファス化が起こっても,不活性ガス雰囲気中でアニール処理を行えば元の結晶構造が復元される.ところがダイヤモンドの場合,常圧で安定な炭素(■)の結晶構造がグラファイトであるため,イオン注入によってアモルファス化した領域はアニールにより容易にグラファイト化してしまう.■イオン注入中のアモルファス化を防止するために,ダイヤモンドを-97℃程度に冷却しながらイオン注入を行い,注入完了直後にアニールする■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(■■■■)法が提案された.この■■■■法では,イオン注入に伴って発生する原子空孔と格子間原子の拡散を冷却により抑制し,注入直後のアニールにより両者を再結合させてアモルファス化を防止していると考えられている.また逆に,イオン注入中にダイヤモンドを400℃程度まで加熱して,注入に伴って発生する原子空孔と格子間原子の拡散を促進し,再結合を促してアモルファス化を防止する■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(■■)法も行われている.注目点は,■■■■法および■■法の両者とも,イオン注入により生じる点欠陥(空孔,格子間原子)の動きを制御することによりアモルファス化を防止していることである.■我々の研究グループでは,半導体材料(主として■■■)1.研究の目的と背景■■パワー半導体は電力のスイッチングや変換に幅広く使に対してフェムト秒レーザを照射することにより起こる現象とその応用について研究を行ってきた.フェムト秒レーザとは■■■■■程度のパルス幅を有する超短パルスレーザの一種である.フェムト秒レーザで照射された領域においては,レーザの強い光電場により電子が引きちぎられ,残された陽イオンが電気的に反発するクーロン爆発と呼ばれる現象が起こる.この現象が完結するのは■■■程度の時間スケールであり,レーザ光のエネルギーは照射された領域の格子振動,すなわち熱としては伝わらず,非熱的な加工が起こる.また,照射された領域内では,瞬間的な圧力上昇により点欠陥が大量に導入されていると考えられる.我々は,レーザ照射に伴う点欠陥がダイヤモンドへのイオン取り込みに寄与する可能性に注目した.具体的には,ダイヤモンド表面にフェムト秒レーザを照射して改質部を導入し,その後,イオン注入を行うことにより,ダイヤモンド中へのイオン取り込みが促進されるかについて,結晶深さ方向のイオン濃度を2次イオン質量分析(■■■■)測定することにより評価した.また,ダイヤモンドの結晶性については,透過電子顕微鏡(■■■)によるナノビーム回折(■■■)により評価した.■■■■法により育成された■×■×■■■■■■のダイヤモンド単結晶を実験に用いた.結晶の表面はff■■■■面である.レーザ照射の前にアセトン,エタノール,蒸留水中で超音波洗浄を行った.■レーザ光源には■■■■■■■■■■■■■■■社製■■■■■■■■を用いた.波長,パルス幅および発振周波数はそれぞれ■■■■■,■■■■■,■■■■である.対物レンズで直径 ■■■に絞ったレーザ光をff■■■■面に垂直に照射した.パルスエネルギーを系統的に変化させ,照射痕がダイヤモンド表面に残る閾値よりやや高いエネルギーで照射を行った.相当するレーザフルエンスは■■■■■ 程度であった.照射時には試料ステージを■■■■■の速度で動かし,図1に示すようにジグザグ状のパターンを描いた.パターンの長い直線が結晶の■■■■■方向に平行である.長い直線の間隔は ■,■■■■,■■の3種類を用い,それぞれダイヤモンド上の異なる範囲に照射した.結論から先に報告すると,ライン間隔■■■■および■■では隣接するレーザ照射ラインの重な徳島大学■大学院社会産業理工学研究部■理工学域■機械科学系 ( ■ ■年度■一般研究開発助成■■■■ ■ ■ ■■■■ )■教授■岡田■達也 − 300 −フェムト秒レーザ照射により改質を導入した■ダイヤモンド単結晶表面へのイオン注入■
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