天田財団_助成研究成果報告書2024
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のNi-Kα線分析結果を示す.CB添加量0,0.1 g/Lでは針状の析出物が,1.0 g/Lでは表面粗さは悪いものの,平坦な形状のNi析出物が見られた.Niは,主に凸部に存在した.Fig. 7に,各CB添加量における基板裏面の温度分布を示す.CB 0 g/Lでは,レーザ照射直後から温度分布はほぼ変わらないが,CB添加量が増すにつれて,温度分布が一定になるまでに時間がかかることがわかる.Fig. 8に,各CB添加量における断面プロファイルとEDS被膜が見られた.各デフォーカス量におけるNi-P析出物の断面プロファイルを測定したところ,デフォーカス距離-1.2 mmでは,ほぼ平坦なNi被膜がみられた.焦点距離では,中心部に平均的に厚みがあり,結晶成長を伴ったと考えられるNi-P析出物が形成された.正のデフォーカスさせた状態では,中央が凹み,クレーター形状となった.このように,CBを添加しないめっき液を用いた場合には,レーザスポットのエネルギー分布が反映したNi析出形態になることがわかった.■■ カーボンブラック(■■)添加の影響Fig. 6に,CB添加量とギャップ長による基板裏面の最高温度の時間変化を示す.CB添加量の増加に伴い最高温度は低下する.めっき液中のレーザ伝搬長を規定するギャップ長1mmと3mmを比較すると,3 mmの最高温度が低い.これは,めっき液に添加したCBがレーザ光を吸収することで,基板に当たるエネルギーが低下したためであると考えられる.CB 0 g/Lでは,レーザ照射直後が最も基板温度が高くなる.一方,CB添加量が多くなると,レーザ照射後にゆっくりと基板温度が増加し,一定になる.これはNi析出物内にCBが取り込まれ,基板のレーザの吸収率が上がったためと考えられる.Fig. 9に,CB添加量に対するNi析出物の組成の変化および直径の変化を示す.CB添加量の増加に伴い,C,Feは増加し,Niは低下する.一方,Ni析出物の直径は増加する.以上より,CBの添加により,基板へのレーザ吸収率が減少し,基板温度が低下することから,Ni析出速度が低下し,めっき液中のCBによりレーザが散乱し,レーザ照射部が広がり,温度分布が緩やかになり,比較的平坦なNi析出物が形成されたと考えられる.(a) 0 g/L ■■■■ (a) 0 g/L ■■■■ (b) 0.1 g/L ■■■■■■ (c)1.0 g/LFig.8Ni distribution and height of Ni deposits (b) 0.1 g/L■■■■■■ (c)1.0 g/LFig.7CB amountdependenceof backside temperature distribution of Fe substrates− 298 −Fig.6Max temperature of substrates backside by laser irradiation

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