]-[ a ecnabrosbA3.レーザスポット溶解による金属ガラス母合金の選択的アモルファス化 ・■各種金属材料のレーザ吸収率図5に得られた各種金属材料のレーザ吸収率を示す。40~100 Wではいずれの材料も吸収率の差は互いの1割程度に収まっているが、20 WではTi、Zr55Al10Ni5Cu30金属ガラスの吸収率が共に0.191であるのに対し、Cuは0.081とその差は5割以上であった。このような吸収率の差異について、Mainaらはレーザ照射によって溶融池が形成するとその内壁で多重反射が生じて吸収率が急増すると主張している1)。彼らはCuの非溶融表面での吸収率を0.12、溶融表面を0.30と報告しており、本研究はこれと同様の傾向を示していることが確認できた。図5各種金属材料のレーザ吸収率■・■試験片意図的に結晶化させた金属ガラス(母材)にレーザ照射を行い、局所的に溶融と急冷を行うことで選択的にアモルファス化する実験を行った。実験材料にはZr55Al10Ni5Cu30合金を用いた。母合金は純度99.9%以上の原料金属を所定量秤量し、アーク溶解炉で合金化して準備した。その母合金は真空鋳造装置でCu鋳型に鋳込み、50×20×2 mmの金属ガラス板材を作製した。金属ガラス板材は20×20×2 mmに切断し、電気炉を用いて600℃で30分間熱処理して意図的に結晶化させて試験片とした。試験片表面の酸化皮膜は研磨で除去してから実験に用いた。■・ レーザ加工条件図6にレーザ加工機の概略を示す。実験はレーザ加工機を用いて線加工および面加工して行った。共通するレーザ条件は繰返し周波数200 kHz、パルス幅300 nsとした。■・■線加工レーザ出力や走査速度と溶込みの関係を調べるために1本の線を加工した。レーザ加工条件はレーザ出力Pと走査速度vの組み合わせが、(20 W、220 mm/s)、(60 W、220 mm/s)、(60 W、140 mm/s)の3条件について行った。■・■面加工レーザ加工条件は60 W、220mm/sとし、17×17 mmの区画に複数の平行線を加工して行った。隙間なく線加工を行うことで実質的に面の加工を行った。レーザ線間隔は線加工の溶込み観察から読み取った深さの半値幅w= 98 µmを用いた。■・■金属ガラスの自由造形レーザ加工デザインを行うことで、選択的アモルファス化による金属ガラスの自由造形を行った。■・■評価方法溶込みの断面組織は鏡面研磨した試験片を0.15 mol/L のHF水溶液でエッチングし、結晶相を着色してから金属顕微鏡で観察した。結晶性は母材部分を破砕して取り除いた溶込みをX線回折(XRD)で評価した。■・■線加工の断面組織図7に線加工の断面組織を示す。いずれの条件でもレーザの進行方向に沿って溶込みが観察された。画像から読み取った溶込みの形状を表1に示す。溶込み深さは20 W、220 mm/sでは26 µmに対し、60 Wでは256 µmに増加した。これはレーザフルエンスの増大を反映していると考えられる。さらに走査速度を140 mm/sに下げると溶込み深さは256 µmから335 µmに増加した。また明瞭なブローホールが観察され、空孔率は7.46%から9.56%に増加した。これもレーザフルエンスの増加により溶込みの温度が沸点近傍まで上昇して形成したものと考えられる。■・■面加工の断面組織図8に面加工の断面組織を示す。表層242µmに溶込みが得られた。また溶込みと母材(結晶相)の界面の母材側では、界面に沿って全範囲で亀裂が観察された。この亀裂は熱衝撃によるものと考えられるが、溶込み側には亀裂が進展していないことから、溶込みと母材は明らかに機械的図6レーザ加工の概略0.50.450.40.350.30.250.20.150.10.05020 40 60 80 100Laserpower P[W]Zr55Al10Ni5Cu30TiCu− 293 −
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