天田財団_助成研究成果報告書2024
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✓後戻り工程不要✓特に量産品,大型厚肉溶接構造物に極めて有効✓溶接工程の■■■化1.研究の目的と背景キーワード:レーザ超音波,溶接,ロボットシステム,マイクロチップレーザ,ブローホール検出アーク溶接などに代表される接合技術は社会を支える不可欠な基盤技術であるが,接合部に生じる割れや融合不良の有無といった溶接品質は完全に保証されておらず,現状は施工後,すなわちポストプロセスで非破壊検査が実施されている.溶接品質を保証する上で,溶接施工中に品質の検査を行う,いわゆるインプロセスモニタリングが可能となれば,その場で補修等の対応を効率的に行え,生産に要する時間やコストを大幅に削減できる.例えば図1に示すような厚板分野における多層盛溶接(数パスにわけて層を重ねて溶接が行われる)では,溶接を連続で数パス,数層盛り終わった後,十分な冷却ののちに超音波探傷が行われている.溶接プロセスにおいては,ワイヤの曲りや母材の溶接熱変形などの意図しない外乱により,最適条件であっても溶接欠陥の発生を完全に排除することが出来ない.溶接欠陥が発見された場合は,欠陥の除去および溶接のやり直し,すなわち欠陥以降のパスが全て無駄になるという大幅な後戻り工程が生じるため,生産性が大きく阻害され,甚大なコスト増につながる.特に厚板では,パス数,層数も多くなるため非常に重要な課題となっている.そこで■パスごとに即座に欠陥の有無を判別できるリアルタイム品質保証技術が求められている.一方,自動車などに用いられる薄板溶接部材においては,図2に示すような亜鉛めっき鋼板の重ね溶接継手におけ図1産業界で求められるリアルタイム品質保証■■■■■■■図2亜鉛めっき鋼板の空孔欠陥大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻( ■ ■年度一般研究開発助成■■■ ■ ■ ■■■■■)准教授野村和史欠陥るブローホールや,スポット溶接部に見られるナゲット不良等が発生する■■ ■.しかし製品が量産品であることが多いため,大型構造物と比較して検査体の個数が非常に多く,プロセスとしても高速であり,非破壊検査による部材の全数検査は非常に困難となる.そのため,抜き取り検査方式による品質保証が広く実施されている.しかし,現状の抜き取り検査方式による品質保証では,検査に合格したロットの中に不良品が入っていないとは言い切れず,全数検査と比較して品質保証の信頼性に不安が残る,ある程度欠陥が生じているものとして設計されている箇所もある,というのが実情である.したがって全数検査が実施可能な非破壊検査手法の確立が望まれている.薄板溶接施工においては,検査体の個数が非常に多くなることに加えて大型構造物の溶接施工と比較して溶接速度が高速となる.よって全数検査を行うためには,高能率で検査が実施でき,高速度な溶接施工に追従可能で,その場で実施可能な非破壊検査手法が要求される.こうした厚板,薄板に対するその場欠陥計測,インプロセス/インラインモニタリングが可能になると,製品や工程のトレーサビリティ,および■■■化といった昨今の品質保証に対する要求にも応えることが可能となると考えられる.その実現には,溶接施工中の高温環境下や,自動化などを考慮すると基本的には非接触に内部の品質情報を取得することが望ましい.そうした非接触手法としては,後戻り工程開先再形成欠陥除去■■溶接整形検査インプロセスで検査(及び局部補修)で生じる欠陥の欠陥の欠陥の欠陥の例多層多パス溶接で生じる多層多パス溶接で生じる多層多パス溶接多層多パス溶接で生じるで生じる欠陥の欠陥の例例欠陥の欠陥の欠陥の欠陥の例割れ,融合不良割れ,融合不良など割れ,融合不良割れ,融合不良溶接後熱処理検査ガウジング処理など■■完成ブローホール溶接金属ワイヤロボット溶接アーク溶融池薄板亜鉛めっき鋼板の重ね溶接継手溶接トーチビード亜鉛メッキ従来の製造工程組立・予熱開先合わせリアルタイム品質保証− 286 −小型高出力レーザによる動的レーザ超音波計測法の開発と溶接欠陥のその場検出

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