天田財団_助成研究成果報告書2024
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− 280 −二光子重合を利用したインプロセス解像度調整可能(□□□□)□光造形システムの設計と開発□ 東京工業大学□工学院□機械系□教授□古川□克子□(□□□□年度□一般研究開発助成□□□□□□□□□□□□□□)□□キーワード:再生医療,二光子重合,フェムト秒レーザー,ラピッドプロトタイピング,積層造形□ 1.研究の目的と背景□□積層造形は設計から製造までの期間が短く、今後の発展が期待されている。焼結(選択的レーザー焼結法)やバインダーによる積層造形(バインダージェット法)などの造形法は、粉末材料が入手できれば□□造形が可能なために広くモノづくりの世界で使用されている。しかしながら、造形物の解像度が粉末の直径に依存して変化するめに、□□造形としての表面精度が粗いことや、粉末間の結合力の強さに限界があることから生じる構造の機械的性質が問題となっていた。解像度や強度を向上させるために、プラスチックを融点以上の温度で溶かしてノズルの先端から噴射する技術が報告されていますが、任意の形状を□次元的に正確に造形するには限界があった。□□一方、光反応性ポリマーを用いた光造形法では、ポリマーが瞬時に重合するため、□次元形状を自由に構築することができる。光造形法は、材料特性や加工精度など技術進歩が著しく、現在、最も有望な造形技術の一つといえる。光造形法は、加工解像度の点で他の方法よりも優れており、高性能な□次元構造物の加工に適しているともいえる。□□光造形法の分野では、フェムト秒赤外線レーザーの開発により、□光子効果を利用した光造形技術が報告されている。この方法では、□つの光子の衝突による□光子効果が狭い□次元空間で発生し、その結果、□□□ナノメートルオーダーの精度で□次元光造形が可能となる。しかし、この□光子□次元造形は単位時間あたりの加工体積が小さいため、構造物の外部形状として小さいものに限定される特徴があった。そのため、□光子レーザーを用いた□次元光造形技術では、高速光造形技術の開発が重要な課題となっていた。□□本研究では、高解像度かつ大きな外部形状を有する構造の造形を実現できる新しいインプロセス解像度調整可能(□□□□)光造形システムを提案する。これは、加工中に凝固解像度を変えることでより効率的な加工を実現し、造形時間を大幅に短縮できる手法である。この手法は□光子レーザーによる□次元造形において成果を示しているが、□□□□は表面オフセットにより微細構造が消失することを利用し、微細加工が必要な領域を分割する最適化手法である。そのため、加工中に加工精度を調整できれば□光子レーザー以外の積層造形にも広く応用できる技術であり、今後の発展が期待されるインパクトの高い要素技術であると考えられる。□2.実験方法□□□□□最適化の原理□構造を最適化するために製造途中で解像度を調整する機能は、本研究で開発した□□□□□システム独自のものである。具体的には、内部サポートを高速方式で製造し、その後、精密方式で表面トポグラフィーを製造する□図1□□□□。この技術により、精密方式のみで製造する場合と比較して製造時間を短縮できる。オメトリ□データは□□□で設計され、□□□に変換される。そして、独自のソフトウェアでスライスされ、ボクセル□データに変換される。次に、表面□□図1□製造システム□セットアップ□□□□□対物レンズと樹脂のセットアップ。□□□□□ハイブリッド描画方式。高解像度描画では処理時間が長くなり、低解像度では表面が粗くなる。□□□□□表面オフセット効果□□□□□□。オフセットを実装すると、小さな構造が消える。逆オフセットでは、小さな構造領域が得られる。オフセット前後の形状を比較すると、小さな構造領域が得られる。□□□□プロセス解像度調整可能ステレオリソグラフィー□□□□□□□ステレオリソグラフィー□□の概略図。フェムト秒レーザーはシャッターと音響光学モジュール□□□□□□□によって制御され、ビーム□エキスパンダーで拡大され、高□□□□□□対物レンズで焦点が合う。モーターとピエゾステージが干渉計により統合されて動く。□□□□□□□□□□光子製造解像度の調整可能性。□

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