天田財団_助成研究成果報告書2024
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図7■融着接続の手順、(a)POFの位置合わせ、(b)ファイバ端を平滑にするための予熱、(c)接合のための加熱 図9■融着点直径のファイバ移動距離Δx依存性 加熱が可能となった。なお、焦点がPOFよりもレーザ光源に近い場合、ファイバ端がレーザ光源に向かって曲がり、融着が失敗することが分かっている。 図8■許容曲げ半径のファイバ移動距離Δx依存性 ■・■■実験結果■融着の各段階を示す図と顕微鏡で撮影した写真を図7に示す。このプロセスでは、2本のファイバー(POF1とPOF2)が個別の3軸ステージに取り付けられた(図7(a))。POFの端面を互いに向き合わせ、2方向からの顕微鏡画像を観察しながら調心を行った。図7(b)に示すように、POFの先端と先端をほぼ接触するまで近づけ、80 mWのレーザ光を照射して先端を予熱した。この予熱の後、レーザ出力を120 mWに増加し、ファイバ先端を設定距離(Δx)だけ移動させることで同時に接合した。この時、2本のファイバの光軸(図7(c))を接合後に再度調心し、光透過率が最大の時にレーザ照射を停止することで接合損失を低減することができる。 図8は、接合されたPOFサンプルの許容曲げ半径値をΔxの関数としてプロットしたものである。ここで許容曲げ半径とは、ファイバが折れない最大の曲げ半径を意味する。POFは、半径が1.5 mm~30 mmの円筒面に沿って曲げられた(図8)。これらの値は、曲げ半径が小さいほど強度が高いことを示しており、接合されたPOFの曲げ強度の指標となる。図8からわかるように、Δxが増加するにつれて許容曲げ半径は減少し、Δxが0.375 mm以上の場合、最小半径は1.5 mm未満であることが確認された。これらの結果は、曲げ強度がΔxと相関していることを示しており、これはおそらく、図9に示すように、融着点でのファイバ直径DがΔxの増加とともに増加するためである。 図10■引張試験装置の写真、引張強度のファイバ移動距離Δx依存性(赤い破線は元のPOFの引張強度を示す) さまざまな試料における融着点の引張強度は、各POFサンプルを2つのクランプで固定し、フォースゲージを使用して評価した。これらの試験では、各Δx値に対して3つの接合されたPOFサンプルが作成され、テストされた。各接合ファイバを試験装置に取り付け、図10(a)に示すようにホイールを手動で回転させることによって融着点に張力をかけた。図10(b)に示すように、引張強度はΔxの増加に伴って増加し、13.5 Nで飽和した。これは、ファイバ自体が伸びることにより、張力が13.5 Nで値が頭打ちになるためである。この結果に基づき、元のPOFの引張強度を13.5 Nと仮定すると、融着点および元のPOFの引張強度はそれぞれ4.92 Nm−2および17.2 Nm−2と算出された。この結果は、融着点での引張強度が十分に高いこと− 272 −

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