キーワード:機能性材料,レーザー蒸着法,分子動力学計算材料薄膜の合成においては、その材料に合った製膜雰囲気と製膜法、基板の選定が重要となる。製膜にはスパッター法をはじめとした電子線蒸着法などの物理的気相法と原料ガスを用いる化学気相法などがある。レーザー蒸着法は物理的気相法であるが、製膜雰囲気の制約が他の製膜法よりも幅広い。これまでに酸化雰囲気での製膜を行なってきているが■■■■、本研究では、炭酸ガスを酸化剤として用いて「やさしい酸化」でのグラフェンの製膜も行なっている。炭酸ガスは人の呼気にも含まれる安定なガスであるが、古くから酸化剤としても知られていて、■■■■年の論文にブードア平衡として記されている■■。本研究ではレーザー蒸着法の高い汎用性により、炭酸ガスのみの雰囲気での製膜も行っている。シリコン基板と目的材料の選択においては、■■■■■■らが■■種類以上の酸化物とシリコンとの熱的平衡について包括的に調べてあり■■、バイブル的な存在となっている。しかし、このバイブルには結晶学的な考察は一切ない。本研究ではターゲット材料に対する基板上での安定性を吸着エネルギーで考察している。これにより、基板上でのターゲット材料の成長方向の予測が可能となる。吸着エネルギーの評価を炭素材料系にも応用することで、グラフェン成長に最適な基板の選択を試みている。また、本研究では理論的考察だけなく、実験的にもレーザー蒸着法による製膜を行い、理論と実験との結果を比較している。 ・■シミュレーションの概要炭素系材料の製膜の候補基板として、チタン酸ストロンチウムff■■■■■■■基板、サファイアff■■ ■■■基板、酸化マグネシウムff■■■■基板とシリコンff■■■基板を準備した。構造モデルは■■■■■■■■■■■■■■で構築し、■■■■■による分子動力学計算を行った。炭素クラスターとして、ff■■炭素原子、ff ■六員環とff■■ナノグラフェンff■■六員環■を作製し、ターゲット基板は、シリコンff■■■、酸化マグネシウムff■■■■、サファイアff■■ ■■■とチタン酸ストロンチウムff■■■■■■■とした。基板上には20Åの空気層を挿入し、基板表面からの距離を変えながら炭素クラスターを置いたモデルをスーパーセルとしたff図1■。それぞれの基板表面にある各原子上に炭素クラスターを配置している。神奈川県立産業技術総合研究所ff■■■■■■■ff■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■1.研究の目的と背景2.実験方法台湾国立成功大学( ■ ■年度一般研究開発助成■■■ ■ ■ ■■■■)統括専門研究員金子智教授吉村昌弘■■■■■■基板では、■■、■■、■の各原子上に炭素クラスターを配置したモデルを初期構造としている。図1:スーパーセルモデル。六員環をチタン酸ストロンチウム基板上に配置している。酸化物結晶の成長方向の予測の例としては■■■のシリコン基板上での成長を取り上げた。 ■ ■ の■■■クラスターをシリコン基板上に置いたモデルをスーパーセルとして、基板表面からの距離を変えて全エネルギーを計算した。シミュレーション計算は東北大学流体研究所の■■■■■において実施した。ff地独■神奈川県立産業技術総合研究所ff■■■■■■■においても■■■■■■■■■■ff■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■を導入し■■、■■■■チップ上で並列処理をサポートするようにコンパイルした■■。■■■■■■は■■■ff密度汎関数理論■を実装するオープンソース・プログラム・スイートである。標準的なノルム保図2:炭素クラスターのモデル。ff■■炭素原子、ff ■六員環、ff■■ナノグラフェンff■×六員環■。− 265 −炭酸ガス中のレーザー蒸着法による新機能性材料の合成
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