キーワード:金属積層造形,レーザ,切削加工 50]ll[ emuovevitaumuC91000 Ni 17.8 N 0.02 % 25201510Leveling bladeリコーター− 260 −Powder粉末図1■PBF-LB/Mの概略 表1■マルエージング鋼粉末の組成 17203430ガルバノメーターファイバーレーザ加工技術では,創製できない複雑形状を有する金属部品を製造できることから,注目を集めている1).金属AMの一種であるレーザベースの粉末床溶融結合法(PBM-LB/M)は,図1に示すように薄く堆積させた金属粉末にレーザを照射することで,選択的に溶融・凝固させ,1層分のレーザ照射が終了した後,リコーターによってその上に薄く粉末を供給し,さらに上部の層の溶融・凝固を行うという過程を繰り返すことで三次元の物体を造形する方法である.PBF-LB/Mは,他の金属AMプロセスと比較して,高密度かつ高精度な積層体を形成でき,産業界において最も普及している手法であり,すでに宇宙産業や世界トップクラスのカーレース産業などにおいて,部品製造に活用されてきている2).PBF-LB/Mは,均一に敷き詰められた金属粉末に対して,対象の3Dデジタルデータを輪切りにした二次元図形上をレーザ照射することによって,1層ずつ金属粉末を溶融・凝固させながら,3次元積層体を形成するものである.積層体には,レーザスポット径と同等の精細さを付与可能であることから,他の金属AM法よりも高精度かつ緻密な積層体の製作が可能となる.しかしながら,PBF-LB/Mによって製作された積層体には,低い疲労強度3)や低品質の表面性状4)などの問題から,自家用車や航空機などの一般的に普及している機械部品への適用には至っていないのが現状である.これらの低品質化の原因の一つとして,積層造形時のレーザ走査方向の偏りによる積層体の異方性が挙げられる. 方向の残留応力が存在することから,強い異方性を有した分布を示す7).このことが,造形物のゆがみや硬さ分布の不均質,疲労強度の低下につながっているため,実用化への障害となっている.さらにこれらの異方性は積層体の切削特性に対しても異方性を付与する可能性があることが考えられる.本研究では,レーザ走査パターンが残留応力分布に異方性に及ぼす影響について詳細に調べるとともに,残留応力の異方性を緩和可能なレーザ走査パターンに 1.研究の目的と背景 ■金属付加製造技術(金属AM技術)は,切削や研削,放電加工などの除去加工や射出成型加工や鍛造など,従来のPBF-LB/Mで製作した金属積層体を工業製品として使用するためには,形状精度および疲労強度5,6)の向上が不可欠である.しかし,PBF-LB/Mで作製した積層体は,レーザ走査方向に引張の残留応力,その垂直方向では,圧縮三条市立大学■工学部■技術・経営工学科■( ■ ■年度■一般研究開発助成■■■■ ■ ■ ■■■■) 准教授■江面■篤志■2.実験方法 ついて検討を加える.さらに,異方的なレーザ走査パターンによって製作された積層体に対する切削実験を行い,その切削特性を明らかにするとともに,レーザアシスト加工を適用することで,その切削特性にどのような影響を与えるか検討を行う. ・■■試験片の製作■■本研究では,表1に示す化学組成を有するマルエージング鋼粉末を出発点としてPBF-LB/Mによって金属積層体を製作した.なお,用いた粉末の粒度分布測定結果を図2に示す. 図2■マルエージング鋼粉末の粒度分布測定結果 Galvanometer scanner6870Particle size [µm]133130262260Fiber laserCo Mo 4.9 8.5 C P 0.01 Ti 0.7 S Cr 0.3 Fe 0.005 Bal. 0.006 Al 0.10 Si 0.06 Mn 0.04 O 0.04 (mass%) 金属粉末床積層法により作製した金属材料の異方性の制御法とレーザアシスト加工による高精度仕上げ加工技術の確立
元のページ ../index.html#262