■-■3.ヒータ造形と高温噴射試験しくはHIPにより引張強さが向上していることが確認できる.表1酸化ランタン・タングステン合金の引張試験結果バルクの純タングステン(Stress Relieved)の常温の引張強さは1200MPa程度である.一方,高温では引張強さは著しく低下し,1600℃では100MPaとなる3).今回SLMにより造形した酸化ランタン・タングステン合金は,常温では200MPa弱となっておりバルクの純タングステンには大幅に劣るものの,1600℃での強度低下は103MPaと半減に留まっており,かつ一般に強度が低下する積層造形品にもかかわらず,バルクの純タングステンと大差ない強度を保持していることが示された.すなわち,酸化ランタンのドープにより高温での強度が大幅に改善されたと言える.これは前述の通り酸化ランタンが結晶粒界に析出することで,再結晶による粗大化が抑制された効果と考えられる.一方,常温での強度が低い値に留まっている要因は,酸素の結晶粒界への析出が影響していると考えられる.今後,酸素含有量の低減による更なる強度の改善が望まれる.3・1 ヒータ試作原料粉Cを用い,酸化ランタン・タングステン合金の多層ヒータをSLMにより造形した.2.2章で述べたレーザ走査速度とハッチ幅を採用した.造形後の熱処理等は図11高温噴射実験装置実施していない.造形されたヒータの外観を図9に示す.問題なく造形されていることを確認した.図9のヒータを組み込んだエンジン組立を図10に示す.図9酸化ランタン・タングステン合金製多層ヒータ推進剤入口絶縁体ノズル高温ガス噴射3・2 高温噴射試験装置図10の酸化ランタン・タングステン合金ヒータを搭載したエンジンを用い,高温ガス噴射試験を実施した.実験装置を図11に示す.真空チャンバ内に設置された推力スタンドにエンジンを搭載し,ロードセルにより推多層電熱スラスタの作動原理図10酸化ランタン・タングステン合金製多層ヒータを薄肉多層ヒータハウジング(■■■)ハウジング推進剤の流れ電流の流れ直流電源ノズル(グラファイト)搭載したエンジン組立多層電熱スラスタの構成推進剤入口耐熱合金製薄肉多層ヒータ絶縁体(窒化ホウ素)NitrogengasHeater power supplyMass flow controller■■■Plenum pressureVoltage drop through thrusterData loggerVacuum chamberLoad cellThrust standThrusterC-typethermocouple (inside the heater)− 257 −
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