天田財団_助成研究成果報告書2024
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出による強度低下が改善されると見込まれることから,ヒータ造形時の粉末としてはCを採用することとした. 2・2 レーザ溶融積層条件の最適化■次に,SLM条件の最適化を行った.ここではCの粉末を対象とした.レーザの走査速度とハッチ幅を変化させ,造形品のSEM観察を行った.図4に得られたSEM像を示す.黒色部がボイドを示しており,条件によってボイドの割合が異なることが分かる.ここではボイドの少ないハッチ幅,レーザ走査速度ともに最小の条件を最適条件として見出した. 2・3 高温下における再結晶化の確認■実際のヒータとしての使用時には2000℃近い高温条1200℃/100MPaで4時間保持後,1600℃/200MPaで1件での作動が課せられる.そこで純タングステン,及び酸化ランタン・タングステン合金の試験片にHIP(熱間等方圧加圧)を施し,HIP後の再結晶の様子をSEMにて観察した.原料粉はBとしHIPの条件は時間保持とした.図5に純タングステンのHIP前後のSEM像を示す.本図から,HIPにより著しく結晶粒界が粗大化,つまり再結晶が進行した様子が確認できる.図6に酸化ランタン・タングステン合金の結果を示す.純タングステンと比べ,結晶の粗大化,再結晶の進行が抑制されていることが分かる.すなわち,酸化ランタンのドープは再結晶化の抑制に一定の効果があることが確認された. 図5■純タングステンのHIP前後のSEM像 図6■酸化ランタン・タングステン合金のHIP前後の更に調査を進めるため,IPF(逆極点図方位)マッピングにより,[100]方向の結晶面の分布を調査した.図7に純タングステンの結果を示す.明らかな再結晶化に伴う粗大化が確認できる.一方,図8に示す酸化ランタン・タングステン合金では,僅かな再結晶化が確認されるものの,純タングステンに比べ大幅に再結晶化が抑制されていることがわかる. 図7■純タングステンのHIP前後のIPF[100]マップ 図8■酸化ランタン・タングステン合金のHIP前後の2・4 高温引張試験■原料粉Cを用い造形した酸化ランタン・タングステン合金の引張試験を実施した.As builtの他,1600℃で1した.常温での引張強さの他,1600℃で1時間熱処理したものについては1600℃の高温下での引張強さを計測試験結果を表1に示す.常温22℃の結果から,熱処理も時間熱処理したもの,前述のHIP処理したものを準備した.使用した引張試験機はINSTRON 5982である.■■■前純タングステン ■■■前酸化ランタン・タングステン合金■■■後■■■後SEM像 IPF[100]マップ − 256 −

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