天田財団_助成研究成果報告書2024
231/508

■ キーワード:レーザセラミックス,高熱伝導レーザ媒質,ネオジウム添加サファイア レーザプロセッシングの適用分野と市場のさらなる拡大には,レーザ装置の高輝度化と小型化が同時に達成されることが必要である.このためにはレーザ媒質の単位体積当たりからのレーザエネルギーの取出効率をより高めることが要求されるが,レーザ発振に伴う余剰熱による利得媒質の性能低下,変形,破壊などの熱問題により取出効率は制限される.固体レーザ装置からの排熱特性はレーザ媒質の熱伝導率をもとに設計されるため,より高い熱伝導率を有するレーザ媒質を用いればレーザ装置の小型高輝度化を進めることができる.■従来,高輝度出力レーザ装置のレーザ媒質には■■■結晶が多く用いられているが,排熱効率という観点からは室温で■■■■■■■という■■■■の熱伝導率がボトルネックとなっている.このボトルネックを解消するための手段として,レーザ媒質を■■■~ ■■■■程度に冷却することが提案されている1).この温度領域では■■■の熱伝導率は ■■■■■■となり排熱特性は改善されるが2),別途液体窒素ベースの冷却装置が必要であり,装置の小型化という観点からは望ましくない.これに対し,筆者らのグループでは複合構造化による■■■実効熱伝導率の向上を提案している.サファイアの熱伝導率は室温で■■■■■■■であるため,厚さ■■■■■■の■■■結晶の両端面に厚さ ■■■のサファイア結晶を常温接合してサンドイッチ構造を形成すれば実効熱伝導率は室温でも ■■■■■■に向上される3).これによりレーザ装置の大幅な小型高輝度化がなされている4).■サファイアに■■■■イオンなどの希土類元素添加によるレーザ活性を付加することができれば,高い光利得と高い熱伝導率が両立された非常に優れたレーザ媒質になると期待できる.しかしながら,サファイアにおける■■■■の原子間距離■■■■Åよりも■■■■と■ ■のイオン半径の和 ■■■Åの方が大きいため,希土類イオンの周囲に安定したサファイアの結晶場を形成することは非常に困難である5).実際に,これまでに報告されている■■■サファイアバルクの分光スペクトルにおいては希土類特有の結晶場分裂による狭帯域な蛍光ピークは観察されていない6).■本論文においては,■■■サファイアレーザ媒質開発において基盤技術となるサファイア結晶(コランダム構造の■■ ■■)における■■■■サイトの希土類(■■■■)置換の実現手法について検討する.本研究が最終的に目指すところは,理化学研究所■放射光科学研究センター■( ■ ■年度■一般研究開発助成■■■■ ■ ■  ■■■■) 研究員■佐藤■庸一■2.研究方法 ■ ・■■第一原理計算■レーザプロセッシングの適用分野と市場のさらなる拡大に資する■■■サファイアレーザ装置の実現である.サファイア結晶構造における希土類置換手法が確立されれば■■■■添加■■ ■■粉末を合成できるので,これを原料粉末として配向制御することにより7)■■■サファイアセラミックレーザを製造することが可能となる.■サファイア(コランダム構造の■■ ■■)に■■■■を置換した系がどのような状態であるかを調べるために,■■■■■■■型の交換相関擬ポテンシャルを使用した■■■法による第一原理計算を行った8).電子系の自己無撞着計算にはソルバーとして■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■を用いた9).■計算評価項目は,■■■■イオンを1個含むプリミティブセルff ■■■■■%に相当■から■■イオンを1個含む■■■■ スーパーセルff■■■■■■■■%に相当■までの■■ ■■コランダム構造に関し,■■■■と■■■■との単純置換による内部応力の状況,■■■■置換■個あたりの全電子エネルギー変化量とした.加えて,■■添加による安定構造がある場合はその構造について推定した.■■ ・ ■試料作製■易焼結性アルミナ粉末(■■■シリーズ■■住友化学)に■■■~■■■■■■%の■■■■添加量となるよう秤量した酸化ネオジム粉末(■■■■■■■■■信越化学工業)を加えてボールミルにより湿式粉砕混合し,スプレードライヤー(■■■ ■■■,ヤマト科学)で再粉末化する.これを一軸成形機(■■■■■■,ラボネクト)および成形圧力 ■■■■■■の■■■成形機(■■■■■■ ■■,エヌピーエーシステム)でタブレット形状に成形後,電気炉(■■■■■,ヤマト科学)で■■■℃■■時間の脱脂処理,さらに高温ボックス炉(■■■■ ■■■,光洋サーモシステム)による大気圧焼成もしくは■■雰囲気■■■■■■■・■■分の■■■処理(■■■■■■■ ■■,神戸製鋼)により■■添加■■ ■■コランダム構造の焼結体を得る.■■ ・■■試料評価■まず焼結後のタブレット形状試料表面について,走査型電子顕微鏡(■■■)(■■■■■■■■,日本電子)を用いて微細構造を観察するとともに,エネルギー分散型■線分光法(■■■)により試料内における■■の分布状況を調査する.■試料内の生成相については,θ - 2θ法による粉末■線回1.研究の目的と背景 − 229 −サファイアへの■■添加による■新奇高機能レーザセラミック媒質の開発研究■

元のページ  ../index.html#231

このブックを見る