(ODMR)の計測にも成功しており、閉じ込め効果の高い構造の開発によって微小磁場測定が可能であることが1)S. Ito, M. Tsukamoto, K. Ogawa, T. Teraji, K. Sasaki, K. Kobayashi, Optical-power-dependent Splitting of Magnetic Resonance in Nitrogen-vacancy Centers in Diamond, J. Phys. Soc. Jpn. 92, 084701 (2023);Doi:10.7566/JPSJ.92.0847012)A. N. Giakoumaki, G. Coccia, V. Bharadwaj, J. P. Hadden, A. J. Bennett, B. Sotillo, R. Yoshizaki, P. Olivero, O. Jedrkiewicz, R. Ramponi, S. M. Pietralunga, M. Bollani, A. Bifone, P. E. Barclay, A. Kubanek, S. M. Eaton1 Quantum technologies in diamond enabledby laser processing. Phys. Lett. 120, 020502 (2022); DOI: 10.1063/5.00803483)John F. Barry, Matthew J. Turner, Jennifer M. Schloss, David R. Glenn, Yuyu Songe, Mikhail D. Lukin,Hongkun Park, Ronald L. Walsworth Optical magnetic detection of single-neuron actionpotentials using quantum defects in diamond,Pans. 2016 Dec 3.考察4.結果謝辞参参考考文文献献 示唆された。このことから、導波路による閉じ込めと集光の効果は大きく、感度の上昇が期待できる。今後は、導波路間の赤色発光の閉じ込め効果を上げるために構造を更に再検討する。図5縦型導波路内に閉じ込められたNVセンターからの赤色光の観察写真本研究では、ダイアモンドNVセンターを用いた微小磁場測定素子として、ダイアモンドの厚みを導波路長とした縦型導波路を考案し、fsレーザーを用いて実現した。この縦型光導波路の中にfsレーザー照射によってNVセンターを増やす方法も開発した。作製した縦型導波路は導波路を532nmのレーザーで励起したところ、NVセンターからの赤色発光を導波路の側面で反射・集光し、強い赤色発光となることが、表面からの観測で確認できた。また、縦型導波路構造の特徴として、微小磁場測定を行うために空間分解能を上げた場合でも、ダイアモンドの厚みを増やすことで導波路内のNVセンターの数を一定に保つことが可能で、感度を一定に保ちながら空間分解能を上げることが可能であることがあげられる。このことによって、本研究の目的である神経細胞からの磁場測定について、任意の空間分解能に設定できるため、高感度で測定できると考えている。今後の取り組みとしては、縦型導波路構造の最適化とアレー状に縦型導波路を作製し、微小磁場測定時の磁場の動きを観測できる素子の開発、およびその場観測の開発を行う。a)作製した装置の構造図b)大きさ15µmのアレー状導波路の顕微鏡c)導波路の発光の様子本研究において、窒素をドーピングしたダイアモンド内に、fsレーザーを用いて任意の領域にNVセンターを作製する方法を開発し、およそNVセンター数を7倍に上昇させることと、その品質が良好であるNV━センターの作製に成功した。また、fsレーザーを用いてダイアモンドの厚み方向を導波路長とする縦型導波路構造の作製に成功し、NVセンターからの赤色発光を閉じ込めて集光することで、NVセンターからの発光の強度を上昇させることが分かった。縦型導波路のサイズは、5µm以上で任意に設定できるが、導波路の側面から2µmの領域はNV━センターからの発光が低くなったため、レーザー強度と作成方法の最適化が必要であることが分かった。また、一辺が15µmの縦型導波路を使って導波路内部の赤色発光が集光していることを確認した。公益財団法人天田財団より頂きました助成金により、ウェアラブル脳磁計のセンサーであるダイアモンドNVセンター微小磁場測定素子を開発することができました。厚くお礼申し上げます。また、本研究は理化学研究所青柳克信客員主管研究員にご指導いただき、理化学研究所(杉岡幸次チームリーダー、小幡孝太郎研究員)、立命館大学(荒木努教授)、筑波大学(野村晋太郎准教授)、豊田工業大学(神谷格教授、岩田直高教授)、国立精神・神経医療研究センター(本田学部長)という広い分野の皆様に多くの知識を賜り、共同研究として実施いたしました。ここに皆様へ深く感謝申し上げます。− 213 −
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