a)レーザー照射時のZ位置、b)レーザー照射方法NVセンターからのNV━センターゼロフォノン状態からのPL(発行波長638nm)強度分布を測定した。結果を図2に示す。図1NVセンター作製方法最初に、レーザー照射前のダイアモンドNV━センターゼロフォノンのPL強度を測定してリファレンス強度とした。リファレンス強度は8000カウントであった。次に照射した領域の測定を行った。図2-a)のように表面からの距離がZ=40µmの位置で20000~25000カウント、Z=56µmでは50000~55000カウントとなっており(図2-b))、およそ7倍に上昇している。また、図2-c)のようにZ=62µmの位置までは図2-b)と同等の強度の範囲があるがそれより深い位置では強度が下がりはじめ、Z=75µmでは図2-a)と同等の強度まで下がっている(図2-d))。このようにレーザー照射を行ったことで強度の最も強い範囲(図2-b)の50000~55000カウント部分)がXYZ方向に3×2×6µmの範囲で作製され、それを中心に6×4×24µmの範囲でNVセンターの強度が上昇する部分(30000~35000カウント)が作製できている。このように、fsレーザーを用いて照射位置をコントロールすることで平面方向で同じ程度の強度分布を、3次元的には広いNVセンター領域を作製することに成功した。任意の領域に広範囲にNVセンターを作製できることは、導波路を作成する上で非常に重要である。2.2 fsレーザーを用いた縦型導波路構造の作成2.2.1 縦型導波路構造について上記2.1で作製したNVセンターは、緑色レーザーによって励起されて赤色発光する1)。赤色光は全方位に向けて発光しているために測定できる発光はラマン装置の対物レンズに入った分だけで、他の方向に出た光は拡散していく。つまり、NVセンターからの赤色発光をすべて集光して測定できれば、磁場による微小な変化をより感度よくとらえる事が可能であることから、導波路構造による集光を考案した。この導波路構造は、ダイアモンドの高い屈折率を利用したコア部分とfsレーザーを用いてダイアモンド内に屈折率の低いクラッド部分を作製し、全反射および屈折によってNV━センターからの発光をできるだけコア部図2いろいろな深さ(Z)でのゼロフォノンNV━からのPL強度分布(638nm)a)Z=40µm、b)Z=56µm、c)Z=62µm、d)Z=75µmの位置でのPL強度分布分に閉じ込め伝搬させる。fsレーザーを用いた導波路構造は、ダイアモンド表面から任意の形状の導波路をレーザースキャンで作製することが可能であり、半導体微細素子作製の場合のように微細なフォトリソグラフィ作業も不要であるため簡単で早く作製できる。また前述のように、本研究の目的である神経細胞の軸索− 211 −
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