キーワード:低温接合,プラズマ,表面処理 ■1.研究の目的と背景 金属と樹脂ならびに異種金属間の低温接合技術に注目が集まっている.これは,近年の脱炭素化のトレンドに則り,自動車や飛行機などの輸送機器においては,その燃費向上のため輸送体の軽量化が喫緊の課題となっており,構造材料として■■■■や樹脂などを,適材適所に用いたマルチマテリアル構造化が一層求められているためである.また,輸送体とスケールの異なる電子デバイスの分野においても,電子素子の冷却効果促進や電子チップの三次元積層による高集積化に向けて,金属間の低温接合が強く求められている.この様な背景から,種々の低温接合法の適用が試みられており,金属材料では非溶融性の接合である拡散接合,摩擦圧接,ならびに摩擦攪拌接合,さらには中間材・副資材を利用したろう付け,半田付け,接着が,金属樹脂間接合では,接着,投錨,埋め込み法が注目されている.ここで,いずれの低温接合法を用いる場合でも,被接合材の表面を活性化させる(高いエネルギー状態にする)ことは非常に重要である.■一般的に金属等のナノ構造体では,表面エネルギーが増大するとともに,化学反応性が向上,局在表面プラズモンが励起される等,バルク金属にない特性を出現させることができることが知られている.このため,触媒,化学センサーなどへ応用するため,その簡便な処理・形成プロセスが必要とされている.またナノ構造を付与した金属表面を金属樹脂接合に応用した場合,マクロな凹凸によるアンカー効果に加えて,ナノアンカー効果が発現し,一層強固な接合が得られることが知られている.またナノ粒子化した金属では,融点が低下するとともに,低温下での焼結性が発現するため,電子デバイスの配線接合やヒートシンクとの接合に用いられている.しかし,これらナノ構造の形成には環境負荷の大きな化成品や大掛かりな装置が必須となる.■一方,我々はこれまで圧力■■■■■■■■近傍の水素と■■からなる狭ギャップ高密度プラズマに貴金属■■表面を曝露することで,直径が数十■■以下の繊維状ナノ構造(ナノファズ構造)が形成されることを見出している1).■本研究では,この簡便な手法により得られる■次元金属ナノ構造を,ポリプロピレン(■■)などの難接着樹脂と金属等の異種材接合に応用することを目的としている.■今回は,形成される■■表面のナノ構造が,種々の処理大阪大学■大学院工学研究科■物理学系専攻■( ■ ■年度■一般研究開発助成■■■■ ■ ■■■■■■ ) 准教授■大参■宏昌■パラメータにどのような依存性を示すかを調査し,種々の表面ナノ構造を持つ■■と■■の加圧接合を行い,表面ナノ構造と接合特性の相関を調べた結果を報告する.■ 2.実験方法 ■ ・■■プラズマ処理の概要■■図■に実験装置の概略図を示す.金属試料には,純度■■■■■%,■■■℃で■時間焼鈍した厚さ ■■μ■, × ■■ の銀板(板状試料),ならびに直径■■■の銀棒,ならびに銅棒を用いた.接合試験において板状試料は,樹脂金属間の異種材接合に用い,丸棒試料は,金属間の低温接合試験に用いた.板状試料は,循環冷媒による冷却,ならびにヒーターによる加熱が可能なステージ上に固定した.循環冷媒温度は,チラーにより- ■~ ■℃の範囲で制御可能である.板状試料のプラズマ処理には,外径■■■■,内径■■■■■■のパイプ型ニードル電極を用いた.試料を試料台上に設置した後,チャンバー内をドライポンプとターボ分子ポンプで■✕■■■■■■■■■まで排気後,■■ならびに■ をプロセスガスとして電極中心から所定の流量でプラズマ中へ供給した.各ガス流量は,それぞれのマスフローメータで所定の値に制御し,排気バルブのコンダクタンス調整により実験中の全圧を■■■■■■■■に維持した.試料台が設置された■軸ステージにより基板電極間ギャップを■■■■■とし,マッチングボックスを介して■■■■■■の高周波電力を投入することで,プラズマを生成した.本研究では,試料温度,プロセ図■.プラズマ処理装置の概略■− 200 −高密度・非平衡プラズマによる金属表面処理技術の開発 異種材料接合に向けた
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