天田財団_助成研究成果報告書2024
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5←]123lt lll ll[005 [ itcelf[ t[ yticoev no]stnuoCnuoc nortceeoohp]s/mecitraPevitaumuCtnuoc nortceeotohp evitaumuCeD0400]stnuoC 図8 衝撃力に対するMLセンサーのたわみ量(PDV)と発光量(PMT)の比較 3・3 純金属材料に対する衝突試験 図1のLIPITを用いて熱処理を施した純鉄に15ZrO2をおよそ750 m/sで衝突させ,圧痕を生成した.LIPIT圧痕周囲の表面をEBSD法による結晶方位解析し,その結果を図9に示す.図9(a)はSEM画像であり,圧痕から伸びるように段差が生じた.同じ圧痕をEBSD法による結晶方位解析を行うと,段差がある箇所に60°の方位変化が発生していることがわかった(図9(b)).したがって,LIPIT圧痕から伸びるように双晶変形が発生することがわかった.mµ図4 高速度カメラで撮影した画像 図6 高速度カメラおよびMLセンサーで計測した粒子速度と粒子質量の関係 図5 各時間毎の累積光電子数 3・2 MLセンサーの時間応答性の検証 より正確に粒子速度を求めるため,MLセンサーに粒子が衝突してから発光を検出するまでの遅延時間を調べた.MLセンサーはアルミ箔とエポキシ樹脂で構成され,その変形によって発光すると考えられ,センサー材料変形に伴う遅延時間が生じる場合,補正が必要となる.したがって,別途図7のような実験を行った.粒子衝突と同程度の負荷速度を想定して,レーザーアブレーションによる衝撃力をMLセンサーに与えた.レーザーエネルギーは40 mJとした.その際のセンサーのたわみをフォトニックドップラー干渉計(PDV)で計測した.また,その際の発光量をPMTで計測し,MLセンサーが変形し始める時刻と発光開始の時刻を比較した.図8に結果を示す.ピンク線は発光量を示し,1.8 µsで立ち上がった.青線はPDVで計測したたわみ速度をたわみに変換したものであり,累積発光量と同様に1.8 µsで立ち上がった.これより,MLセンサーが負荷を受けて変形を開始してから発光するまでの時間差は生じていないと思われる. 10410310210110−1210−11300200100Deviation pointTime [µs](a) Without particlesB.粒子あり(b) With particlesDifferenceoflightemitted by particle collisionML sensorNacNobbytechShimadzu10−1010−910−8Particle mass [kg]101525201510− 192 −PMTPDV→Time [µs]100755025図7 MLセンサー時間応答性検証のための実験概略図 一方,準静的負荷による圧痕に対しても同様に結晶方位解析を行ったが,緩やかな方位変化が生じたのみであり変形双晶は観察されなかった.さらに,LIPIT圧痕断面を切り出し,観察を行った.圧痕断面のSIM像を図10に示す.SIM像のコントラストは結晶方位の違いを示しており,LIPITによって微細な組織,すなわちナノ双晶やナノ結晶粒が観察された.こちらも準静的負荷による圧痕では見られない微細構造であり,LIPITの高ひずみ速度・高ひずみの変形に起因した特異な組織変化であると考えられる. 次にLIPITの圧痕の周辺にナノインデンテーション試験を実施した.図11にその結果を示す.圧痕から放射状にナノインデンテーション試験を実施し,加工硬化の影響およびその範囲を調べた.LIPIT圧痕における押し込み曲線より,圧痕に近い位置ほど押し込み深さが浅くなった.また,押し込み曲線から得られた硬さについては,LIPIT圧痕,準静的負荷で生成した圧痕,材料自体の硬さをまとめで図11に示す.これにより,LIPIT圧痕では圧痕縁に近い箇所で硬化が見られた一方で,準静的負荷による圧痕では圧痕縁の硬化はなかったことがわかった.LIPIT圧痕

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