図6ディスク摩耗痕のSEM画像と元素マップ(a)未改質サンプル,(b) 酸化サンプル,(c) 浸炭サンプル図7に各サンプルの摩耗痕の摩耗深さのプロファイルを示す.未改質サンプルでは摩耗が認められなかったが,代わりにステンレス鋼ピンからの移着物により隆起し,約2μmの層が形成されていた.対照的に酸化サンプルは摩耗しており,摩耗深さは約2μmであった.浸炭サンプルの表面は凸面でも凹面でもなく,初期状態を保っていた.図8にステンレス鋼ピンの摺動面のSEM写真を示す.ステンレス鋼ピンの押込み硬さは約1GPaであり,ディスクに使用されるすべてのサンプルよりはるかに低い.そのため,すべてのピンの摺動面には摺動方向に連続な傷が観察され,アブレシブ摩耗が生じていた.未改質サンプルに用いたピンには部分的に剥離した不連続な摩耗傷(図8(a)矢印部)も観察された.摩耗試験後のステンレス鋼ピンの重量減少は図9に示すように未改質サンプルに使用したピンで最も高く,酸化サンプルで最も低かった.− 187 −
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