天田財団_助成研究成果報告書2024
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図3にサンプル表面のX線回折の結果を示す.酸化サンプルの表面はルチル型のTiO2であることが確認された.浸炭サンプルのTiCのピークは表面改質を行っていないサンプル(以下未改質サンプル)と比較し,高くなり,Tiのピークは低くなっていることから表層のTiC相の割合が高くなっていることが示唆される.図4は摩耗試験に供した酸化/浸炭サンプルの表面の押込み硬さの結果を示す.押込み硬さは酸化サンプルの方が未改質サンプルより低かったが,浸炭サンプルは最も高い値を示した.図4表面改質層の押込み硬さ図3表面改質したTiC-Ti複合材料のX線回折結果図5は距離に対する摩擦係数の変化を示す.いずれのサンプルにおいても初期段階で摩擦係数が増加し,その後はほぼ一定の値となっていた.この値は未改質サンプルと浸炭サンプルでほぼ同じであったが,酸化サンプルはわずかに高かった.図6にサンプルの摩耗痕のSEM写真と対応するEDSマップを,表1にEDSによって分析されたディスクの摩耗痕,ピンの摺動面,およびデブリの平均組成を示す.図6(a),表1に示すように未改質サンプルの摩耗痕にはFeの付着が確認された.図6(b),(c),および表1に示すように酸化および浸炭サンプルの摩耗痕はステンレス鋼ピンからの移着が最小限であることを示している.表1EDSによって分析されたディスクの摩耗痕,ピンの摺動面,およびデブリの平均組成図5距離に対する摩擦係数の変化− 186 −

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