天田財団_助成研究成果報告書2024
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2.3摩耗試験摩耗特性の評価は室温,大気中,無潤滑下でピンオンディスク式摩耗試験により行った.ピンには直径3 mmのステンレス鋼(JIS SUS304)ピンを用い,速度0.2 m/sで荷重5 N,の条件で実施した.試験後,摩耗痕の観察,分析をFE-SEM,EDSで行い,表面粗さ計で摩耗深さを評価した.摩耗量は試験前後の重量を測定することで評価した.3.研究成果図2は酸化処理したTiC-Ti複合材料(以下酸化サンプル)と浸炭処理したTiC-Ti複合材料(以下浸炭サンプル)の断面のSEM写真とそのEDSマップを示す.酸化サンプルでは図2(a)に示すように基板上に約1.7 μmの酸化膜が形成されている.浸炭サンプルは図2(b)に示すように表層から3 μmの領域に多量のCが分布しているため,この部分が浸炭層と考えられる.TiC-Ti複合材料の微細組織を図1に示す.組織中の黒色は細孔またはC,明るい灰色はTi相,暗い灰色はTiC相である.TiC相は粒径2μm程度の粒状となっており,Ti相はその隙間に分布している.画像解析によりTiC相,Ti相およびC相または細孔の面積率を求めると,それぞれ78%,20%,2%となった.複合材料のビッカース硬さは850 Hvであった.図1TiC-Ti複合材料の微細組織のSEM写真図2断面のSEM写真と対応するEDSマップ(a)酸化サンプル,(b)浸炭サンプル− 185 −

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