天田財団_助成研究成果報告書2024
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■ 力応向方周力応向方周力応真 のものに加え,焼きなまし処理を施した材料も実験に用いた.図6に,引張試験によって得た供試材の応力 – ひずみ線図を示す.STKM13Cの焼きなまし材やC1220は伸びやすい一方,STKM13Cの未処理材やA1070の伸びは小さかった.プラグ形状の影響を調査するため,半角α,ガイド長さLgp,およびコーナ半径Rpが異なるプラグを用いて実験を行った.実験では,管端を口広げ加工後,拡管型抽 過する際に,管壁はたわむため,曲げ・曲げ戻し変形が生じ,σθは増減する.逃げ角φ = 60°になると,溝部を通過する際に生じる曲げ・曲げ戻し変形が大きくなるため,外 /θσ /θσ /σ aPM000000管 aPMaPM図5■口広げ部先端における周方向応力σθの変化 径側,内径側の両方が同時に引っ張られる領域は存在せず,曲げと曲げ戻しの繰り返しのみとなる.このため,周方向に伸ばされにくくなるとともに,ひずみの蓄積による割れが生じやすくなったと考えられる.一方,逃げ角φ = 30°の場合,nr = 6の場合の方が,nr = 2の場合と比べて限界口広げ率κmaxは低下した.これは,溝数nrが多いと,曲げ・曲げ戻し変形が生じる回数が増加し,ひずみの蓄積による割れが生じやすくなったためと考えられる. 4.拡管型抽伸加工における成形品の精度向上4~6■■■■・■■実験および解析方法■■本研究では,素管の材種およびプラグ形状の影響について,検討を行った.表2に加工条件を示す.炭素鋼(STKM13C),アルミニウム合金(A1070),りん脱酸銅(C1220) の素管を用いた.STKM13Cに関しては,未処理 (FEM) 表2■拡管型抽伸加工条件 外径 Dp / mm コーナ半径 Rp / mm ガイド長さ Lgp / mm 材質 初期外径 D0 / mm 初期肉厚 t0 / mm 初期長さ L0 / mm 図6■供試材の応力-ひずみ線図 溝部溝部溝部溝部外径側内径側溝部溝部内径側外径側引張試験最大荷重点(引張試験)近似200100-100-20060(a) 逃げ角φ= 20°(合計接触角γ= 300 °)200100-100-20060(b) 逃げ角φ= 60°(合計接触角γ= 180 °)180240120プラグ回転角θ/ °300180240120プラグ回転角θ/ °300360800700600360500400300200100プラグ 半角 α / ° 潤滑 (実験) 摩擦係数 (FEM) 伸加工を行った.なお,本検討では,口広げ加工は管を回転させずに行った.また,口広げと抽伸にて,同じプラグを用いた.FEM解析には,有限要素法汎用コード“Elfen”を用いた.2次元軸対称モデルを用い,静的陰解法にて解析を行った.管は弾塑性体,プラグは剛体とした. ■成形性を評価するため,成形品の肉厚tおよび外径Dを STKM13C (未処理材, σ= 664 (ε+0.91)0.21)STKM13C (焼きなまし材, σ= 664 (ε-0.02)0.21)C1220 (σ= 446 (ε+ 0.18)0.37)A1070 (σ= 129 ε0.03)0.10.30.2 真ひずみε12, 24, 36, 48 30 ~ 42 無し,5 ~ 20 0, 30 STKM13 (未処理および焼きなまし材),A1070,C1220 30 2 600 (実験),200 (FEM) カストール S-846M (タイユ株式会社) 0.1 0.40.5− 180 −

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